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木の実を集めて君にあげる
第5章 ドライバー爆誕
元町の老舗のお菓子屋で焼き菓子を買って、
花屋で可愛くてホワホワした黄色い花がびっしりついてる花を選んで短めにまとめて貰ってから、
瑞樹ちゃんの家に向かった。


連日の訪問だったけど、
瑞樹ちゃんのお母様は嬉しそうにしててくれて、
「悠介くんと付き合えば良いのに」と言われてしまって、
ちょっと困惑してしまった。


リビングでお茶を飲んでいたら、
家電話が鳴って、瑞樹ちゃんのお母様が取る。

その会話から、
亮平ってヒトからだってことはすぐに判ったけど、
お母様は電話を切って、
多分着拒設定してたから、
瑞樹ちゃんは泣きながら「ママ、酷い」と言って、
部屋に行ってしまった。


お母様は小さく溜息をついて、
「悠介くん、ごめんなさいね?
あの子ったら…」と言って口を閉ざしてしまった。


「あっ。
花を届けてきますね?
これ、なんていう花ですか?
元気が出る色かなと思って選んだけど、
名前、判らなかったんです」と言うと、

「ミモザよ。
悠介くん、本当に優しいのね?
幼稚園の時からずっと…」と言って、
小さい花瓶に入れたミモザを渡してくれた。


僕はそれを両手で受け取って、
階段を登った。


びっくりさせないように、小さくノックしてみたけど、
反応はない。

もう少し待ってからノックしようかなと思っていると、
そっとドアが開いた。

瑞樹ちゃんの目はウサギのように紅くなっていた。


僕はゆっくりした声で、
「ほら。
このお花、部屋に飾ってあげて?」と言ってみた。


瑞樹ちゃんは無理して微笑んでくれようとしてるのが、
痛いほど判って胸が痛くなってしまう。

「ありがと…」と言いながら、
頬に涙が溢れては落ちていく。


僕は声をなんとか振り絞って、
「無理して笑わなくても良いよ。
中に入っても良い?
ドア、開けておくからさ」と言った。


瑞樹ちゃんの部屋は南向きみたいで、
温かい光が差し込んでいた。

ベッドとサイドテーブル、
カウチソファ、
デスクと本棚があった。

右奥の扉はクローゼットかな?


柔らかい色合いの薔薇やよく判らない花の模様のカーテンやベッドカバーが、
凄く瑞樹ちゃんぽかった。


僕は取り敢えず、
カウチソファに座ってみた。


サイドテーブルに花を置くと、
瑞樹ちゃんはそっと僕の隣に座った。






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