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木の実を集めて君にあげる
第6章 ラブホ突撃顛末記
車から降りようとしたけど、
瑞樹ちゃんは固まったままだった。


「お線香臭いままで帰れないでしょ?」と言うと、
ゆっくり車から降りる。

僕はトランクに入れてるアウトドア用のトートバッグを持って、
瑞樹ちゃんの腕を取るようにして、
適当な部屋のボタンを押して鍵を受け取ってエレベーターに2人で乗った。


正直言うと、
心臓はバクバクしてた。


ピカピカ光ってるドアを開けると、
トートバッグからトラベル用のシャンプーセットを出して瑞樹ちゃんに渡した。


「いつもこれ、使ってるでしょ?
って、僕、ストーカーみたいで気持ち悪いかな?」と言いながら笑ってしまった。


でも、お線香の匂いしてても、
シャンプーの香り、違ってても、
瑞樹ちゃんのお母様に気づかれちゃうだろうからって言うと、
瑞樹ちゃんはシャンプーを握り締めてバスルームの方へ行ってしまう。


僕はソファに座って、
リモコンのスイッチを入れると、
いきなり、裸で絡み合う男女の姿が映るから、
焦ってチャンネルを変えて音声も切った。


海外の景色を流すチャンネルがあったから、
それを流しながら室内の電気は消してみた。


どれくらい時間が経ったのかは判らなかったけど、
瑞樹ちゃんがバスローブ姿で僕の斜め前に立っているのを見て、
なんだか現実の瑞樹ちゃんじゃなくて、
別の、もう1人の瑞樹ちゃんがそこに居るように感じてしまった。



「服はリセッシュして、乾かしてみるね?
私、もう、匂わない?」と言っているみたいだけど、
瑞樹ちゃんの声も入ってこない感じだった。



僕はまるで、
何かに操られているかのように、
瑞樹ちゃんのことを抱き締めながら、
「まだ、あいつの匂いがしている」と言うと、
キスをしていた。


本当に、瑞樹ちゃんの肌や髪や、
そして両脚の間からも、
宇田川亮平の匂いがする感じがして、
それを追い出してしまいたい衝動があった。






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