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木の実を集めて君にあげる
第7章 妊娠したけどあいつは居ない
妊娠初期で切迫流産しそうになっている。


医師にそう言われて、
震えながら赤ちゃんを助けてくださいという瑞樹ちゃんを抱き締めた。


「ん?
未成年ですよね?
そちらは、ご主人?」みたいなことを言われた僕は、

自分が夫だと言って、
来週には自分は二十歳になることと、
まだ、入籍はしていないけど、
自分から両親には伝えることをなるべく淡々と言って、
とにかく入院して、
母子共になんとか助けてくださいと伝えた。


個室しか空いてないと看護師さんに言われて、
取り敢えず、お金、後で下ろしてこようと、
変に冷静に考えていた。


個室なら2人だけでゆっくり出来るし、
それはそれで良かったとも思った。


病室にしては少し豪華な部屋に入る。
瑞樹ちゃんの腕には点滴やら、
なんかの機械が取り付けられていた。


他のヒトが出て行った後、
僕はすごく嫌な話を瑞樹ちゃんにした。


「あのさ。
あいつ、居なくなったんじゃないの?
それでも、産みたいんだよね?」


瑞樹ちゃんは息を呑んで目を閉じる。
身体が震えてるのが判る。

それでも、きっぱりと首を縦に振る。


だから、僕は、
子供の父親、僕だってことを押し切ろうと瑞樹ちゃんに言った。

入院が何日間になるか判らないから、
ご両親に隠せないかもしれない。

バレた時に、
父親と連絡もつかないなんてことを知られたら、
間違いなく堕胎しろと言われるよと、
淡々と説明した。


僕の話より、
宇田川亮平のことを考えてる瑞樹ちゃんは、
亮平さんはそんな人じゃないとか、
何かあったんだと繰り返して言う。


でも、
実際にあいつは、
連絡も取れなくて、
入院手続きも出来なくて、
ここに来て瑞樹ちゃんの手を握ることも出来ないってことを言ってみる。

でも瑞樹ちゃんは哀しい顔をして涙を堪えながら唇を噛み締めてるだけだった。



少し冷静に考えて貰う必要があるかなと感じた。


取り敢えず、タロウをピックアップして、
自分の実家に預けてくるからと言って、
瑞樹ちゃんもご両親に、
独りでやっぱり淋しいから、
僕の実家にタロウとお泊まりに行くって連絡しておくと良いよと伝えた。


それと、後でゆっくり考えようってことも。
ネガティブなことを考えてると、
赤ちゃんに響くといけないからって言って、
髪をそっと撫でて病室を出た。


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