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木の実を集めて君にあげる
第7章 妊娠したけどあいつは居ない
瑞樹ちゃんの家に行って、
軽井沢から連れ帰った時に使っていたキャリーバッグにタロウを入れる。

ドッグフードの銘柄を確認して、
封の空いてない袋があったから取り敢えずそれを車に入れる。

それと、瑞樹ちゃんの部屋に畳んで置いてあった網みたいなヤツ。
多分、組み立てタロウの家になるんだろう。
そいつとペットシーツってヤツも車に積んだ。


瑞樹ちゃんの着替えは…と思ったけど、
クローゼットや引き出しを開けるのは躊躇われたから、
後で買えば良いかなと思って、
タロウのキャリーバッグを手にして、
戸締りをして、
瑞樹ちゃんに聞いておいたセキュリティも掛けて、
家を後にした。


実家に戻って、
自分の部屋にタロウを連れて行こうとすると階段の処で母さんにバッタリ鉢合わせしてしまった。


「あら?
どうしたの?このコ?」と案の定、訊かれてしまう。


隠せる訳ないと思っていたから、
説明をした。


「瑞樹ちゃんと予備校行ってたら、
熱中症みたいな感じで体調崩しちゃって、
念の為、入院したんだよね。
まだ、ご両親、軽井沢で、
心配掛けたくないから内緒にしてって言うから…。
連れ帰ったタロウ、取り敢えず預かってあげるから、
病院でゆっくりしたらって…」


「あら!
大変じゃない。
何か手伝うことは?」と言われて、
「特にはないと思うけど、
心配だから病院に付き添っても良いかな?」と言った。


「病院のお食事、
美味しくないから、
デパ地下で喉の通りが良さそうな物、
買っていきなさい」と言われた。

ついでにと思って、
「急に入院しちゃったから、
着替えとか用意してないんだよね。
まさか、瑞樹ちゃんの家でクローゼット探す訳にもいかなくてさ。
無印とかで適当に買おうと思うけど、
サイズってなんだか判る?」と訊くと、

「んー。
取り敢えず、Mで良いんじゃない?
買い物、付き合ってあげるから、
車、出して?」と言われてしまう。


駅の百貨店に立ち寄って、
よく判らないけど、
着心地が良さそうな下着と部屋着みたいなものや靴下を楽しそうに母さんは選んで、
ついでにと地下で食べ物も見繕ってくれて、
「悠ちゃんはお花でも選んでね?
母さんは夕食の食材買ってからタクシーで帰るから!」と言って、
さっさと手を振って人混みに消えてしまった。


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