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木の実を集めて君にあげる
第9章 夜明け
「流産?
だって、もう1月よね?」


瑞樹ちゃんはゆっくり、
噛み締めるように言葉にしながら、
何かを考えるような表情になる。


「予定日は3月だから…
早産なの?」


そう言いながら、
自分のお腹のあたりを見つめる。


「早く病院に行かなきゃ…」と言いながら動きが止まってしまった。



僕はゆっくり、
静かな声で話し掛けてみる。


「とにかく、シャワーだけして、
清潔にしてみようか?」


動けない瑞樹ちゃんに話し掛けながら、
取り敢えずパジャマのズボンとショーツをそっと脱がせると、
立ち上がらせてバスルームに連れて行く。

中には結構しっかりした椅子が置いてある。
車椅子だった時にもヘルパーさんがそこに瑞樹ちゃんを座らせて、
身体を洗うのに使っていたもので、
体力落ちてるし、まだ脚の筋力も充分ではないから、
一人で入浴するようになっても、
その椅子に座ってシャワーを浴びたり、
身体を洗うのに使っていた。


パジャマの上着は濡れちゃっても良いから、
取り敢えず、下半身をシャワーで洗い流してみるように言って、
僕はお湯の温度を調節してからシャワーヘッドを瑞樹ちゃんに渡して、
もう片方の手にそっとロクシタンのシャワージェルをプッシュしてあげる。


「着替え、用意するから、
とにかく、サッと流してみて?」と言って、
僕はバスルームから出た。


トイレで脱がせたズボンとショーツを洗濯機に入れてから、
バスタオルとバスローブを出して、
下着とナプキンも出して待ってると、
瑞樹ちゃんがフラフラしながらバスルームから出て来た。


濡れちゃってるパジャマの上着を脱がせながらふんわりとバスタオルでくるんで、
軽く拭いてあげてから、
バスローブを着せて、
リビングのソファまで抱えて行って、そっと降ろす。

ショーツとナプキンを渡して、
「ここなら危なくないから、
自分で履けるかな?」と言って、
取り敢えずキッチンでお湯を沸かしに行ってみた。


瑞樹ちゃんはゆっくりショーツを履いていたので、
それを待ってから、
マグカップに入れた白湯を手にして、
テーブルに置いてから瑞樹ちゃんの隣にそっと座った。


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