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おっかない未亡人
第24章 未亡人はつらいよ
~さて続いてのお便りはこちら~
~香さんこんばんは。私は会社で転勤が決まりました。給料も上がるしやりがいもあるのですが、結婚を考えている人がいて、正直離れたくありません。香さんなら仕事と結婚、どちらを選びますか?~

~私は結婚を選んだけど、仕事も諦めきれなくて、家族を捨てて仕事に進んだわ。でも後悔してない。人生は選択の連続ね。ここで一曲、~

~♪


「あたし子供、産みたいの。」

「うん。」

「プロジェクト成功すれば3年は向こうだって。あたしもう40になっちゃう。」

「40か。お前大学生でも通るのにな。」

ハァーため息

「シンちゃんにデキ婚は駄目って言われた。」

「できちまったら産むしかないだろ。」

「そだねー。」

「でも転勤断ったら勿体ない。本社行きたくても行けない人もいるんだからな。」

「知ってる。分かってる。」

究極の選択だと思う
でもこればっかりは授かり物だから

「俺は本社行かしてやりてぇよ。お前ならできるし、活躍して欲しいし。」

「まっつんも来てよ。」

「は?」

「まっつんが一緒なら怖くない。」

「怖いのか?」

「うん。シンちゃんを失うのが怖いのと、環境が変わるのも怖い。」

根源はそれだった

「俺はデキ婚全然いいと思うよ。俺もだったし。世間体なんて一度も気にしたことないわ。大事なのは二人の気持ちだろ。カミさんと子供が居れば何も怖くなかったし。守るためなら何でもする覚悟だったし。」

幸子は頭を垂れた

「俺ならこんな悩ませないけどな。子供欲しいって言われて何をためらう奴があるか。」

涙が出てきた
板挟みから解放されたかった

松下の腕の中で思う存分すすり泣く
慎吾には見せられない涙だった

「あたしって弱いね。」

「だな。」

「弱くてもいいかな。」

「いいよ。」


抱かれてもいいくらいだった
松下は泣き止むまであたしの丸まった体をずっと撫でてくれて
泊まらずにキスもせずに帰っていった


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