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おっかない未亡人
第25章 サチコ18才
あたしは聴講生としてとある大学に忍び込んでいた
私たち以外にもタイムスリップしてたらワンチャン戻れる方法教えてくれるかもと踏んだのだ

シンちゃんと気まずくなってから会っていなかった
というかシンちゃんは携帯持ってないからこちらから連絡できないのだ

塾で待ち伏せたらまた友達が冷やかすだの言って嫌がるだろうし


「クソガキめ。」

独り言が大きかったのか
隣に座って講義を受けていた男の人と目が合う

「あ、すいませ、、ん?」

松下だった

まさかこんな近くにいるとは
しかし向こうはあたしを一瞥してまたノートを取ることに集中した

なんだ
松下はタイムスリップしてないのか
つまんないの

あたしはまじまじと松下を見た

またこちらをちらっと見てくる

「何か?」

冷たいやつめ
あたしがこんなに困ってんのに

「いやあの、字、綺麗だなって。」

思ってもないことを口にした

「初めて言われた。」

松下はまた熱心にノートを取り始める
真面目か!


松下がこの教授のこの授業を受けることは予測していた
この教授が連載している雑誌の記事に惚れ込んで雑誌記者を目指したとか昔聞いたことがあったのだ
 
「てか君さ、○○短大の制服だよね?なんでわざわざうちの大学に?」

よし、食いついた

「この教授の雑誌読んで、惚れ込んだんです。将来は雑誌作る仕事したいなって。」

松下が顔を上げてこちらを見た

「俺今度○○社のインターンシップ行くよ。」

得意気に言われる
あたしたちの居る会社じゃん
そして夫も居る会社

「いいなぁ。四年大はチャンスがあって羨ましいわ。」

「頼んでみよっか。」

「いいんですか?」

あざと幸子本領発揮だ
戻るためなら何でもしますとも





講義が終わって

駅前でティッシュ配りをしていたら

学ランの集団が通り掛かる
良く見るとシンちゃんも混ざっていた

駆け寄りたい気持ちを抑える
青春の邪魔はしちゃだめだわ

シンちゃんはあたしに気づいたようだったが
すぐに目を反らした

でしょうね
いいわよ別に
冷やかされるのが嫌なんでしょ

あたしもムスっとなってそっぽを向いて配るのに集中する

「○○キャンペーンやってまーす。」



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