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おっかない未亡人
第5章 キツネに摘ままれる
寝ている関本を起こさないように部屋をあとにする

~ココアご馳走さまでした~

置き手紙も添えた


とぼとぼ帰って始発に乗る
窓には自分のむくれた顔が映っていた

あたしも歳かな
濡れなくなったのかしら
今日はどこにも出掛けないで早く寝よっと

自宅が見えてくる
カーテンは閉まってるから槻は夜勤だったようだ

「まっつん!」

ドアの前に松下が座って煙草を吸っていた
幸子の置いていった上着を着ている

「そのパーカー、、。」

「持ってきた。」

「会社でも良かったのに。今開けるね、上がってくでしょ?」

「いや、いいよ。」

「いつから居たの?」

「覚えてない。」

なんだかんだ言いながら部屋に入ってくる

お茶を出そうと戸棚を物色していたら
マークがついた首をツンツンされる

「お盛んだな。」

「あんたもね。」

「俺?」

「昨日バイクに乗るの見たから。」

「ああ、定期落としたって言うからさ。」

「ふーん。」

お決まりの席に座って煙草を吸っている

幸子は不思議な気持ちになった
この人とだったらいつシても良いのに
逆に良くなかったことがないくらいだ

「言っとくけど、、してないからね。」

「へ?」

「出来なかった。もうあたし自信ないや。」

説明する義務はないけど聞いてほしくなる

「明らかにお前のタイプと違うもんな。」

「分かるんだ。」

「分かるよ。バカだな。」

この人にバカと言われると嬉しい
そんな自分もバカなのかもしれない


「シャワーしてくるね。」

松下をリビングに残して浴室に来る

浴室の鏡に映る私は明らかに疲れていた
恋やつれかな
かといって過去の男と
今さら盛り上がる気もなかった
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