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おっかない未亡人
第9章 無垢な間男
「ふーん。叔父さんも満更でもないんだ。」

有休を取って槻と温泉旅行に行く
幸子から誘ったのだ
運転も交代でできて疲れない
槻はまだ慣れないようだから起きとかないとだ

「というか、なんか上から目線なのよね。貰ってやってもいいよ、みたいな。むかつく。」

「むかつくとか素直に言える関係がいんじゃない?関本さんには言えないでしょ?」

「だって奥さん愛してる~♪」

流行りの歌を替え歌にしてとぼけてみる

「叔父さんにしとけば安泰だよねぇ~。」

「まっつんも言ってた。」

「でもそれじゃさっちゃんには退屈かもね。」

「分かる?安定なんて聞くだけでゾワッとする。」

~目的地に着きました~




和室だった

二人でお茶を飲む

「景色綺麗だねぇ。」

随分田舎だ

外には川があった


「車に置いてたゴム、使った?」

槻は彼氏いないってあんなに言ってたのに
ゴムが一個減っていたのだ

「うん、、、。」

「まさか車でしたんじゃ、、」

「ごめん。。」

「ふーん。病院の人?」

「ううん、スーパーで働いてるの。品だししてるときに番号渡してみた。」

夢があるなぁ
あたしにはない勇気

「そっか。おめでと。」

「うん。でも既婚者なんだ。。」

「何ですって!」

よりによって娘まで
でも自分も不倫してるから強くは言えない

「指輪してなかったから知らなかったんだけど最初は、、。」

「応援するとは言えないけど、、見守る。どんなときも自分がどうしたいか考えるんだよ?」

なんつーアドバイス
でもあたしだからこそできるアドバイスもある

「今ならさっちゃんの気持ちが痛いほど分かる。」

「まさか共有する日が来るとはね。切ない?」

「うん。基本的に会えないし。会いたいときに会えないし。優先はされないよね。」

ああなんて不毛なの
沼から救出してあげたい

「でも好きなんだよね?」

「うん。」

槻が旅館の浴衣に着替える
ハッとした
娘の下着は紫色のハート柄だった
Tバックもばっちり穿いている

「彼の趣味?」

「まあね。」

あたしも負けてらんない
ばりばり恋しなきゃ

「あたしから言えることは、間男を充実させることかな。」

槻が笑っている

「なら、ゴム補充しなきゃね。」

そうよ
自分の身は自分で守る

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