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おっかない未亡人
第15章 多角関係
「じゃあまず体調面に不安はありますかってところなんだけど。」

塩見と一対一の面談がある

幸子は虚ろだった
最近夢にも三原が出てきて眠れないのだ

そして目の前には夫そのものが座っている

かきみだされてかきみだされて
おかしくなりそうだった

「あまり、、眠れてなくて。」

「そうなんだ。何か悩み事とかあれば聞くけど。」

あなたです
ずばりあなたの存在が

颯爽と現れてあたしをかきみだしてる

目で訴えてしまった

「そうだなぁ。スケジュールが少しタイトだからなぁ。今度の出張も誰かと代わってもらって、、。」

「嫌です!今私、仕事しかないんです!!奪わないで~。下ろさないで~。」

幸子は泣きわめいた
あまりの取り乱しように塩見の動きが止まる

「少し、休んだ方がいい。」

肩に手が触れてきて真っ正面から顔を見てしまう

どうして現れたの?
あたし、やっと次に進めそうだったのに

「三原さん?」

泣き腫らした顔で彼を見た
もう区別がつかない

「あなたが、あなたが、いけないんです。急に現れてあたしをかきみだして。」

憎悪の表情になる

しかし相手は冷静だった

「ちょっと待ってて。」

彼は出ていってしばらくしてから上着を取って戻ってくる

「着いてきて。」


そのまま彼の車に乗せられる
どこに連れていかれるのだろう
車の中でも泣きじゃくっていた


着いたのは心療内科で
塩見に促され素直に中に入る

オルゴール系のBGMが流れていてアロマの香りが漂っていた
幸子は徐々に落ち着きを取り戻してゆく

問診票を書いている間も診察を受けている間も
彼は待合室で待っていてくれた
時折仕事の電話にも立っていた
無理して抜けてくれたんだ


帰りの車でも彼は深くは聞かなかった

「今日は取り乱してすみませんでした。」

正直に夫に似ていて仕事が手につかないことを話した

「ああ、なんか他の人にも言われたよ。三原さん見てて、動揺してるのは気付いてたんだけど、上司としてどこまで踏み込んでいいか、俺も悩んでた。」

来るときは後部座席だったが帰りは助手席に乗った

いっそのことこの人を好きになれたら楽なのかもしれない

「俺に何かできることあったら、、あ、こういうのがいけないのかな、、。」

赤信号になる

幸子は体を乗り出して塩見の腕を引っ張ってキスをしてしまった


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