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第15章 多角関係

唇が合わさってハッとしてガバッと離れる

「ご、ごめんなさい、、あたし、、。」　

とんでもないことをしてしまった
今度こそ本当に役職下ろされる？
どうしよう

信号が青になって
彼は無言で発信させる

怖くて表情が見れない

「この辺だったよね？」

「へ？」

「家。」

もうすぐ我が家だ

ふと塩見の薬指を見る
指輪は付いていないけど
ミステリアスな人だなって思う


家に着いて車を降りる

「今日はありがとうございました。」

車に気付いたのか槻が外に出てくる

「さっちゃ～ん、心配したよ。会社早退したって言うからさ。あれ？」

槻が出てきたからか塩見が車から降りて挨拶をする

「こんばんは。幸子さんの上司の塩見、、」

槻が塩見を見た瞬間取り乱す

「パパ？何でパパが居るの？生きてたの？パパ！」

「違うのよこの人はパパに似てるけど、、」

幸子の説明も聞かず槻は塩見に抱きついた

「会いたかった。」

「槻ちゃんだめ。」

幸子は阻止しようとするが
塩見に止められる

「大丈夫。」

「え、でも、、。」

なんと槻を抱き締め返してくれたのだ

「パパ～。」

もっと驚いたのは家から慎吾が出てきたことだった

「兄ちゃん、、。」

今一番会わせたくない人だったかもしれない




槻はそのまま泣き腫らして眠ってしまい
慎吾と二人でリビングでご飯を食べる

「熱いっ。」

槻が作ってくれたグラタンは焦げかげんがちょうどよくて体を温めてくれた

「来てたんだ。」

「うん。幸子ちゃんが体調悪いって聞いてさ、飛んできたよ。」

「明日も仕事なんでしょ？ごめんね～。」

「俺の○ウディは速く走るから大丈夫。」


幸子は最近の悩みを話した
夫が慎吾に乗り移って会話をしたことも

「え、全然記憶ない。」

「だから、今日そっくりさんに会わせてしまって、しまったなって。」

「兄ちゃんめ、俺の体を使って、、。」

慎吾は冗談半分だが複雑ではないのだろうか

「ほっんと似てたね。幸子ちゃんが戸惑うのも無理ないよ。」

「仕事が、、手につかなくて。役職下ろされるかも。」

「そっか。複雑だね。」