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おっかない未亡人
第16章 古巣の背中
近所の喫茶店にくる

「お前に言っとかないといけないと思って、、。ノリさんには黙っててって言われたんだけど。」

松下が真面目な顔をしていた

「関本の次の課長ポストを幸子にどうかって相談されてたんだ。」

「へ、あたし?」

寝耳に水だった

「俺も考えたよ。お前が関本とのこと無邪気に話してくる横で、俺も悩んだ。」

全然知らなかった

「お前には今のポジションが合ってると思ってさ。生き生きしてるし。ノリさんにはまだ早いって返事したんだ。」

「そっか、、。」

「今思えば、お前を推薦しとけば良かった。」

松下が窓の方を見ている
窓に映る顔はなんたがやりきれない表情だ

「正直やっかみもあったんだよ。何で元々居た俺じゃなくてとかさ。」

松下を見る
この人は信用できる

「だし、お前にしとけば、あの似てる奴が来ることもなかったんだよ。その事で悩んで今お前がこうなってるとしたら、俺の責任だ。」

幸子は頼んだホットロイヤルミルクティを飲み干した

あーおいしい

「話してくれてありがとう。」

幸子はなんだか妙に元気が沸いてくるのを感じる

「あたしは大丈夫。」

まっすぐに松下の顔を見て言う

「まっつんがそばにいてくれるから、あたしは頑張れる。」

「殴ってくれ。」

「いやいや、バカなの?」

せっかくカッコよくキマったのに
三流任侠映画の見すぎだわ

「あたし、異動願書いてたけど、、まっつんに預けとくわ。あたしが邪魔になったら好きにして。」

幸子はバッグから白い封筒を出してパサッと投げる

「邪魔なもんかよ。お前は俺の女だ。お前が他の男と付き合っても、俺が他の女と遊んでも、お前は俺のだ。」

「都合が良いのね。」

「よっしゃホテル行くかー。」

幸子は時計を見る  

「もう閉店じゃん。帰ろ?ごちそうさまでした。」

「奢るなんて言ってねーぞ。」

そう言いながらも財布を出して伝票を持って立ち上がった


彼の背中が世界一大きく見えた気がした




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