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おっかない未亡人
第17章 サチコ20才
短大出て何社か受けてなんとなく受かって入社した

特にこれがしたいとかなくて
同期10人居たけどあたしは早々見切りつけて辞めるんだろうなぁとか

熱く夢語る人も居たしやりたいことが明確な人もいたし
なんとなく話を合わせてたけど
あたしは冷めてたから温度差がありすぎて

同期の中には幼馴染みの郷田が居たから
仕事が終わると彼の家でゲームをして帰るのが通常となっていた


松下はみんなより少し年上で
だからって何かまとめ役とかする訳ではなかったが
いつも冷静に先を見ている印象だった



ある日ロッカーで帰る準備をしていると松下が話し掛けてきた
挨拶程度しかしたことないからすごくビックリしたのを覚えてる

「吉村さん、会社辞めるの?」

「へ?!」

入社して3ヶ月
その頃は研修も一通り終わってそれぞれ部署に配属されていた

幸子はというと転職サイトをたまに見るくらいで
別に具体的にここを離れたいとか思ってた訳じゃないのに

「別に、辞めないけど?お疲れ~。」

むしろ気持ち悪、こいつくらいに思っていた
いきなり話し掛けてきてなんなのよ
あたしのこと何も知らないくせに


一方で核心を突かれた感があった

あたしが仕事が身に入ってないのも見透かされてたのだろう
誰にも上司にも上手く立ち回ってたつもりだったのに

この男にはばれたのだ

幸子はその日から松下が気になり始めた
異性としてというよりは人として気になったのだ

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