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おっかない未亡人
第17章 サチコ20才
「松下くんってどんな人。」

新入社員だけで飲み会を開いていた

「うーん、別にふつー。」

郷田に聞いてみる

「ふつーか。」

「あんまり誰とも深く関わってない感じはするよな。冷めてるっつーか。吉村気が合いそう。」

「えー嫌だ。」

「あ、そういえば女と歩いてるの何回か見たぞ。結婚してんじゃないかな。相手妊婦だったし。」

ふーん
幸子よりも何倍も大人な気がした
世界が違うのね

遠くに座っている松下を見た
喫煙組は奥に固まっていて松下と話すチャンスはなかった

飲み会が終わってそれぞれ分かれる

幸子が一人で帰ろうとすると意外にも松下が話しかけて来た
しかも気さくに

「こっち?」

帰りの方向を聞いているのだ

「うん。」

それから彼と色々な話をした

実は松下も辞めようとしていること
でも転職活動が上手くいかない上に彼女が妊娠して状況が変わったこと

お酒の勢いもあって電車の中でもずっと話していた

「吉村さんて面白いね。」

「松下くんには負ける。」
 
幸子が降りる駅になる

「じゃ、楽しかった。お疲れ。」

さよならを言ったのに何故か松下も同じ駅で降りた

「あれ?ここ?」

「送ってくよ。夜遅いし。痴漢出たら困るっしょ。」

「でないよ~。」

「俺見たことあるよ。下出してる人。」

「ベロ出してんの?」

「そっちじゃねーよ。」

楽しくて話足りなくて彼女いるって分かってたけど帰りたくなかった


帰り道は静けさに包まれていた

ここで何か起こってもおかしくないし
起こってもいいくらいに惹かれていた 

「何で分かったの?あたしが辞めようとしてること。」

一番聞きたかったことだった

あたしのアパートに着くまでに何故か一件ラブホがあるのも運の付きだった

「入る?」  

松下が私の質問には答えずラブホの前で立ち止まった



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