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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第5章 従者と執事見習い〜従者の恋〜
「…勘違い…ね…」
「…はい。そうです。
私は誰よりも梨央様を大切にお護りしたいと考えています。
それだけです」

月城の美しい真っ直ぐな瞳は、哀しいくらいに澄み切っていた。
…なんだか、切なくなる。
そう。
彼にとって、梨央様への気持ちを口に出したらそれはここを去らなくてはならないことを意味しているのだ。
自分の気持ちをおいそれと、口に出すわけにはいかないのだ。
…だから、気持ちを胸の奥に仕舞い続けるのだ。
永遠に…。

健気だ。
健気すぎる。

狭霧は思わず月城を強く抱きしめた。
「月城くん…!」
「さ、狭霧さん…?」
「君は…なんて良い子なんだ!
なんて可愛いんだ!
分かった。俺はもう、何も言わないよ。
…でももし、寂しいときは俺の部屋においで」

月城の瞳を見つめて、艶めいた眼差しで蠱惑的に微笑む。
「…俺の身体で、慰めてあげるから…」
しなやかな指で、月城のなめらかな頬をそっと撫でる。
月城がびくりと飛び上がった。
「さ、狭霧さん…!」
「遠慮は要らないよ。
俺は君みたいな綺麗で真面目で健気な男の子が大好きなんだから…」
狭霧が、尚も抱きしめていると…

「…橘が気を揉む筈だ。
…全く、困った従者殿だな…」
背後から、大袈裟なため息混じりの美声が聞こえた。

慌てて振り向く先に佇んでいたのは…
「…旦那様…!」
二人は直ぐ様、起立した。

「…北白川伯爵家の清廉潔白な執事見習いを、無闇に誘惑しないでくれ給えよ、我が従者殿」

白いシャツにベスト、スラックスというラフな服装の伯爵が、戸口で腕を組みながら苦笑していた。
…さもない格好だが、すらりと長身で手足の長い伯爵が着ていると、洒脱でそれだけで洗練されて見える。

「…あ…」
見惚れているのと、驚いたので思わず言葉が出ない狭霧に、男はにっこりと微笑った。

「…午後の支度を手伝ってくれるかな、狭霧」


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