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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第5章 従者と執事見習い〜従者の恋〜
「…山科子爵夫人。
よろしければ、客間をお使い下さい。
伯爵もどうぞこちらに。
…生田。急いで客間の用意をしてくれ」
駆けつけた礼也がさりげなく場所を移そうと、執事を呼ぶ。
縣礼也は不測の事態にも慌てず、ゆったりと微笑を浮かべつつ提案する。
その様はまさに、次期当主となる器を感じさせるに足る充分なものだった。

けれど、山科醇子はその提案を一笑して跳ね除けた。
「結構ですわ。縣様。
わたくしはここで皆さまの前でこの淫乱な男娼が如何に酷いことをしでかしたか、明らかにしたいのです。
…貴方は決して陽の当たるところを歩いてはならないのよ。
わたくしの大切な和彦さんを殺したのですもの…!」

「醇子!何をしているのだ!」
玄関から慌てふためいた様子の夫の山科子爵が駆け寄る。
どうやら彼だけ遅れて到着したらしい。
「もうやめなさい。
北白川伯爵や礼也くんに迷惑を掛けてどうする…!」
山科子爵は法曹人らしい冷静な対応で妻を諌めた。
また、明らかに山科家よりも遥かに地位の高い北白川伯爵に妻が楯突き、罵倒する行為を山科家の当主として、見過ごす訳にはいかなかった。
そのような失礼な行為は、貴族社会に身を置くものとしてはあり得なかったからだ。

「…狭霧くんを責めても仕方ない。
和彦は酔客に刺されて死んだのだ。
それは厳正たる事実だ。
狭霧くんに罪はない」
噛んで含めるような言い方から、如何に妻の醇子が常軌を逸した精神状態であるかが推し量れた。

その言葉を聞くなり、醇子は如何にも貴族の女性らしい一重の切れ長の瞳を釣り上げ、さらに激しく激昂を始めた。

「貴方まで何てことを仰るの!
すべての元凶はこの淫売よ…!
この悪魔が、和彦さんを破滅させたの!
わたくしから、和彦さんを奪ったのよ!」





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