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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第5章 従者と執事見習い〜従者の恋〜
「…聴こえないよ。狭霧…。
なんと言ったの?」
男は次第に激しさを増す抽送を繰り返しながら、優し気に尋ねる。
「…いじわる…だな…」
振り返り、涙で潤んだ瞳で睨みつける。
「君が啼く声が可愛くてね…。
もっと…もっと私を欲しがってくれ…」
背後から顎を捉えられ、口唇を執拗に奪われる。

「…あぁ…っ…も…う…」
…熱い舌に口内を隈なく蹂躙され、媚肉も思う様に犯される。
男の先走りの牡液が白く泡立ち、淫らな水音を立てる。

…このまま…なかに出されるのだろうか…。
女のように孕む訳ではないけれど、体内に射精される倒錯感と背徳感には、慣れることはない。

…それに…

…和彦…。
ごめんね…。

和彦に、そっと詫びる。

眼を閉じる狭霧の貌を、男は無理やりに振り向かす。
「…私のことだけを、考えてくれ…」

「…あ…」
…伯爵の端正な瞳に浮かんでいたのは、微かな妬心の色に見えた。

狭霧はそっと微笑んだ。

「…分かってる…」

男はほっとしたように、美しい瞳を細め、荒々しい抽送を続けた。

「…いかせて…と言って。
…可愛い狭霧…」
甘い口づけを間断なく、与えられる。
その濃厚な蜜のような甘さと濃度に窒息しそうだ。

…もう…耐えるのは、無理だった。

「…いかせて…旦那様…」
息も絶え絶えに、懇願する。

「…良い子だ…。
…私も…もう保たない…」

…伯爵の呻るような掠れた声…。
それは余りに艶めいていて、狭霧の背中はぞくりと快美感に震えた。

男の熱く鋭利な牡は、狭霧の花筒の最奥に到達した。

「…あぁ…っ…!」
あまりの衝撃に白い背中を仰け反らせる。

…その身体を壊さんばかりに抱き竦め、男は力強く腰を遣う。

「…あぁ…ん…っ…!…も…だ…め…」
激しく髪を振り乱す狭霧を雁字搦めに抱いたまま、男が低く呻いた。
「…なかに…出すよ…」
「…あぁ…っ…!…や…あ…ん…っ…あつ…い…」

…男の熱く大量の牡液が、狭霧の体内の最奥に浴びせかけられる。
熱い樹液の奔流に、狭霧の媚肉が痙攣する。
「…よく…締まるね…。
…ああ…なんという淫らな…だ…」
熱を含んだ男の淫らな賛辞も、快楽の沼に深く沈み込む狭霧には夢うつつのように聴こえる。

…だから…

「…これで君は、私のものだ…。
…誰にも渡さない…」

…囁かれた甘い声も、夢だったのかも知れない…。



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