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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第5章 従者と執事見習い〜従者の恋〜
手紙では粗方知らされていたが、やはり千雪の口から詳しく聞きたかった。
「大学は合格したの?」
「うん。
奨学金で進学できたよ。
大丈夫。心配しないで。兄さん」
「大学はどこ?」
「…帝大の経済」
「すごいじゃないか!
おめでとう!
ユキは頭は良いし綺麗だし可愛いし性格は良いし…本当に俺の自慢の弟だよ」
感激の余り、ぎゅうっと抱きしめる。
「痛いよ、兄さん…」
苦笑しながらも嬉しげに頬を擦り寄せる。
そんなところは小さな頃と少しも変わらない。
この無垢な愛らしい弟は、狭霧の数少ない良心ともいえる存在だった。

「…ユキは偉いな…。
さな絵さんを亡くして、店も人が減って大変だろう…。
…俺のせいで…。
…本当に、ご免な…」
「ううん!謝らないでよ。兄さんのせいじゃないよ。
…最近は段々お客様も戻っていらしたし、大番頭さんや昔からの職人さんはそのまま残ってくれたから、以前みたいな活気も取り戻しつつあるんだよ。
お父さんもすっかり元気になったし。
…お父さん、兄さんが北白川伯爵様の従者になったこと、すごく安心していたよ。
僕もお店の経営に少しずつ携わらせて貰って、やり甲斐を感じてるし…だから気にしないで、兄さん」
…健気で優しい弟だ。
なんていじらしいんだろう。

狭霧はもう一度千雪を強く抱きしめる。

「ありがとう。ユキ…」
狭霧は千雪の艶やかな髪を優しく撫で、その文字通り雪のように白い額に感謝のキスを落とした。


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