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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
二人の到着を聞き、玄関ホールから北白川伯爵が颯爽と…そして優雅に現れた。
今日は昼食会なので、伯爵もアスコットタイにジャケットというくだけた服装だが、それが如何にも洒脱に見える着こなしなのだ。
背後には美貌の従者・狭霧を従えている。
狭霧は到着したばかりの暁を見て眼を輝かせた。
…狭霧は美しい少年が好きなのだ。
性癖ではなく、単なる趣味…ということらしい。
どこか変わった男なのだ。
「…やあ、礼也くん。よく来てくれたね」
朗らかに語りかけながら、手を差し出す。
その手を礼也は敬意を込めて握り返し、
「本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
伯爵、弟の暁です。
…暁、北白川貴顕伯爵だ。
ご挨拶を…」
傍らで緊張の為、固くなっている弟を紹介する。
北白川伯爵は、礼也の手を未だにしっかり繋ぐ、世にも美しい少年に視線を移し、眼を細めた。
「…暁くんだね?
礼也くんから君のことはよく聞いていたよ。
初めまして。会えて嬉しいよ」
優しく声を掛けた。
暁はややぎこちなく礼也の手を離し…けれど、折り目正しくお辞儀をした。
「…初めまして。
暁です。
北白川伯爵様。
本日は昼食会にお招きいただきまして、誠にありがとうございます」
そろそろと上げた面を見て、伯爵は改めて感に耐えたような声を上げた。
「…これはこれは…!
聞きしに勝る麗しい弟君だね、礼也くん。
君もハンサムだが、暁くんはまた別の稀有な美貌の持ち主だ。
まもなく社交界は騒然となるに違いない。
縣家の二人目の美しい御曹司の登場は大ニュースだ」
伯爵は感心したように首を振った。
「恐れ入ります。伯爵。
…暁はまだ殆ど社交に出かけておりません。
礼儀作法も勉強途中です。
不慣れなことが多いですので、何卒ご指導のほどをよろしくお願いいたします」
礼也は謙虚に答えながらも、愛おしげに暁を見遣った。
それは誠の情愛の眼差しで、如何に彼が暁を大切にしているかが推し量れるものであった。
今日は昼食会なので、伯爵もアスコットタイにジャケットというくだけた服装だが、それが如何にも洒脱に見える着こなしなのだ。
背後には美貌の従者・狭霧を従えている。
狭霧は到着したばかりの暁を見て眼を輝かせた。
…狭霧は美しい少年が好きなのだ。
性癖ではなく、単なる趣味…ということらしい。
どこか変わった男なのだ。
「…やあ、礼也くん。よく来てくれたね」
朗らかに語りかけながら、手を差し出す。
その手を礼也は敬意を込めて握り返し、
「本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。
伯爵、弟の暁です。
…暁、北白川貴顕伯爵だ。
ご挨拶を…」
傍らで緊張の為、固くなっている弟を紹介する。
北白川伯爵は、礼也の手を未だにしっかり繋ぐ、世にも美しい少年に視線を移し、眼を細めた。
「…暁くんだね?
礼也くんから君のことはよく聞いていたよ。
初めまして。会えて嬉しいよ」
優しく声を掛けた。
暁はややぎこちなく礼也の手を離し…けれど、折り目正しくお辞儀をした。
「…初めまして。
暁です。
北白川伯爵様。
本日は昼食会にお招きいただきまして、誠にありがとうございます」
そろそろと上げた面を見て、伯爵は改めて感に耐えたような声を上げた。
「…これはこれは…!
聞きしに勝る麗しい弟君だね、礼也くん。
君もハンサムだが、暁くんはまた別の稀有な美貌の持ち主だ。
まもなく社交界は騒然となるに違いない。
縣家の二人目の美しい御曹司の登場は大ニュースだ」
伯爵は感心したように首を振った。
「恐れ入ります。伯爵。
…暁はまだ殆ど社交に出かけておりません。
礼儀作法も勉強途中です。
不慣れなことが多いですので、何卒ご指導のほどをよろしくお願いいたします」
礼也は謙虚に答えながらも、愛おしげに暁を見遣った。
それは誠の情愛の眼差しで、如何に彼が暁を大切にしているかが推し量れるものであった。