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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
デザートのラズベリーメレンゲが供され、皆が食べ終わった頃、礼也は珍しく、ややそわそわした風情で、伯爵に尋ねた。

「…伯爵。
恐れ入りますが、ほんの少しで良いので梨央さんにご挨拶させていただけないでしょうか?
お疲れにならないように、短時間にいたします」

それを聞いて暁は少し寂しげに眼を伏せた。

「構わないよ。
梨央も退屈しているはずだ。
ぜひ、行ってやってくれ」
伯爵は直ぐに快諾した。

「暁、暁も一緒に行こう。
お前を梨央さんにご紹介するよ。
ご挨拶しなさい」
礼也が誘うのに、一瞬息を呑み…やがて静かに首を振った。
「…いいえ。
僕はご遠慮します。
…梨央様は大変繊細な方とお伺いしております。
まだご休養中なのに、初対面の者がお部屋をいきなりお訪ねしたら、きっと緊張なさるでしょう。
僕はまた日を改めて、ご挨拶いたします」
完璧な言葉であった。
伯爵はその利発さと心遣いに感心したように眼を細めた。

礼也は少し残念そうにしながらも
「…確かにまだご紹介もしていないお前を梨央さんのお部屋に連れてゆくのは、いささか失礼かもしれないな…」
と逡巡した。

暁はにっこりと笑い、兄を安心させるようにその手を握り締めた。
「はい。どうか兄さんお一人でいらしてください。
僕はお待ちしているので、どうぞごゆっくり…」

伯爵は好感の笑い声を立てた。
「実にしっかりしたお気持ちの優しい弟君だね。
礼也くんは素晴らしい弟を得たね。
これで縣家は安泰だ」


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