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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第2章 狭霧の告白
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狭霧はまじまじと和彦を見つめていたが、やがてくすくすと笑い出した。
可笑しくて堪らないように暫く笑いが止まらない。
「…あ、あの…」
おどおどする和彦に、狭霧は幾分柔らかな眼差しで改めて見つめた。
「そんなに自分に自信がないわけ?」
「…う、うん…」
「どうして?」
「…ど、どうして…て…」
狭霧は腕を組み、改めて和彦に対峙する。
「お前はあの山科子爵の長男だろう?
帝大の法科に現役で合格してさ。
すごく秀才らしいじゃないか。
それから、絵だって上手い。
俺と違って性格も穏やかで誰からでも好かれている」
…それに…
と、やや声を甘くして、ゆっくりと和彦に近づく。
改めて和彦を上から下までじっくりと眺め回す。
…すらりとした長身。
きちんと整えられた髪、少し気弱そうではあるが整った目鼻立ちには気品がある。
服装はこれまた地味な色合いだが、いかにも銀座の一流テーラーで作られたらしい上質なシャツとスラックス。
靴も高価そうな舶来の革靴だ。
…絵に描いたような、由緒正しい育ちの良い貴族のお坊ちゃま。
けれどかわいそうに。
男が好きなのか。
…しかも、俺みたいに性格の悪いヤツを。
「…見た目も悪くない。
背が高くて、スタイルがいいし…地味だけどかなり男前だ」
甘く微笑んでやると、和彦は見る見る間に、頬を紅く染めた。
可笑しくて堪らないように暫く笑いが止まらない。
「…あ、あの…」
おどおどする和彦に、狭霧は幾分柔らかな眼差しで改めて見つめた。
「そんなに自分に自信がないわけ?」
「…う、うん…」
「どうして?」
「…ど、どうして…て…」
狭霧は腕を組み、改めて和彦に対峙する。
「お前はあの山科子爵の長男だろう?
帝大の法科に現役で合格してさ。
すごく秀才らしいじゃないか。
それから、絵だって上手い。
俺と違って性格も穏やかで誰からでも好かれている」
…それに…
と、やや声を甘くして、ゆっくりと和彦に近づく。
改めて和彦を上から下までじっくりと眺め回す。
…すらりとした長身。
きちんと整えられた髪、少し気弱そうではあるが整った目鼻立ちには気品がある。
服装はこれまた地味な色合いだが、いかにも銀座の一流テーラーで作られたらしい上質なシャツとスラックス。
靴も高価そうな舶来の革靴だ。
…絵に描いたような、由緒正しい育ちの良い貴族のお坊ちゃま。
けれどかわいそうに。
男が好きなのか。
…しかも、俺みたいに性格の悪いヤツを。
「…見た目も悪くない。
背が高くて、スタイルがいいし…地味だけどかなり男前だ」
甘く微笑んでやると、和彦は見る見る間に、頬を紅く染めた。
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