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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…月城さん…?
どうしましたか?」
気がつくと、暁が不思議そうな貌をして月城を見上げていた。

無遠慮すぎるほど、暁を凝視していた自分に気付き、月城は慌てて詫びる。
「失礼いたしました。暁様」

…そして…
「…だから、今の現実が夢なのでは…とお思いなのですね?」
改めて尋ねる。

「…ええ。そうです。
こんなお伽話のようなお屋敷にいて、綺麗なお庭を眺めている僕も…。
…美しい月城さんも…すべて夢の中の出来事のような気がするのです」
じっと見つめられ、どきりとする。
…暁の瞳は不思議な色を湛えていた。
孤独な夜の海のような、漆黒の闇のような…けれど、ぞくりとするようなしっとりと艶を含んだ瞳なのだ。

「私など…」
柄にもなく照れて視線を逸らした月城に、意外なほど無邪気に笑いかけてくる。
「いいえ。本当です。
驚きました。
兄さんとはまた違った美しい大人の男性だな…て。
こんなに綺麗で端正な男性は…初めて拝見しました。
最初、どちらかの貴族の方かと思いました」

「…旦那様のお下がりの燕尾服を着用しておりますから、そう見えるのでしょう」
「服装だけではないです。
月城さんには他の人にはない品格が感じられます。
兄さんに聞きました。
月城さんは働きながら帝大に通われているのでしょう?
成績もとても優秀だと。
…凄いな…て思います」

月城は静かに微笑む。
「…私は北陸の貧しい漁村の出身です。
旦那様が給費生として選んで下さり、こちらで働かせて下さったから大学に通え、実家に仕送りも出来ているのです。
自分だけの力ではありません」

…私のことよりも…
月城は暁に一歩、歩み寄った。

「…暁様。
お手を出していただけますか?」



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