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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…そうだ」
月城はふとあることを思いついた。
「暁様を良いところにお連れします」
…こちらへどうぞ…。

そう促して、月城は暁を中庭へと誘った。
東翼の小径を進むと、限られた者しか入ることがない中庭に出る。
そこは余り外で遊ぶことを好まない梨央のために、伯爵が特別に造った美しい童話の箱庭のような花園であった。
薫りの良いミルラ香の薔薇が咲き乱れるこじんまりとした薔薇園、可愛らしい噴水、小さな池には家鴨と鴨がのんびりと泳いでいる。

…そして…
暁が脚を止め、大きな眼を見張った。 

「…わあ…綺麗…!」
少年らしい素直な歓声だった。

けれど、その次に発せられた言葉に月城は図らずも驚かされることになるのだった。

「…これは…何ですか?」










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