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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
…暁の眼の前で暖かな春風にゆらゆらと揺れているのは、ブランコであった。
伯爵が伊太利亜から取り寄せたそれは白木に細かなアールデコの模様が施された洒落たものだ。
エジンバラ公のガーデンパーティーに招かれた折、公女が遊んでいるブランコを伯爵が見て、梨央にも遊ばせてやりたいと同じものを取り寄せた…と月城は聞いていた。
特に眼を惹くのは、その白いブランコの支柱や鎖に絡まった美しい蔓薔薇の見事さ…だろう。
全体から見ると、薔薇の花で出来たブランコのように見えるのだ。
…確かに外国産の洒落た凝ったものだが、一目でブランコと解るものだ。

…けれど…

「これは、何をするものですか?」
暁が不思議そうに瞬きをしながら、月城を見上げた。

月城は穏やかに微笑みかける。
「…これはブランコです」
「…ブランコ…。
ああ、聞いたことがあります。
確か、子どもが遊ぶ遊具ですよね?
けれど実際見るのは初めてです。
…へえ…これがブランコか…」

月城の微妙な表情に気づいた暁は、ふわりと安心させるように微笑った。
「…僕、遊具で遊んだことがないんです。
貧しい長屋育ちで、学校にもほとんど行けなかったので…。
兄さんに引き取られたときにはもう遊具で遊ぶ歳ではなかったですし…。
もちろん星南学院にもブランコはありません。
だから子どもが遊ぶものをほとんど知らなくて…。
…恥ずかしいです」
「恥ずかしくなどありませんよ」
すぐ様、月城はきっぱりと言い放つ。
「私も田舎に居たときは、こんな洒落たものは見たことも聞いたこともありませんでしたよ。
こちらに来て色々見聞きしたものばかりです」

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