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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
…それから、二人はたまさかに乗馬倶楽部で貌を合わせるようになった。

もちろん、そう頻繁ではない。
暁は週末も学校行事や倶楽部活動や社交に忙しいらしく、月城もまた下僕の仕事や大学の課題に多忙で、週末に馬場に脚を運ぶこともままならぬ時もあったからだ。

元々、馬の世話は伯爵家の馬丁の仕事だ。
月城の仕事ではない。

『馬に慣れるためにも月城くんもちょくちょく触りに行った方がいいよ。
馬はね、人を見るからね。
このひとが信頼に足るひとか…瞬時に見分けるんだ。
舐められたら馬上から簡単に振り落とされる。
蹴られることもある。
早く一人前のライダーにならなきゃね。
…梨央様のためにも』
と、狭霧に助言されまめに通うようになったのだ。

…狭霧は優しい美貌に似合わず、馬術の教えは厳しかった。
彼は以前、稽古事で数年習っていただけとは思えないほどに勘が良く、どんな荒馬でも巧みに乗りこなしていた。
執事に乗馬は必要ないのだが、いずれ梨央に乗馬を教えたい伯爵は月城にも馬術の心得を体得させたいと言ったのだ。

そこで教師は狭霧となった。
普段はふざけてばかりの狭霧だが、馬上のひとになると雰囲気ががらりと変わった。
伯爵のお下がり…と言っても新品同様の洒落た乗馬服に身を包んだ狭霧は、まるで貴公子のように麗しく品格があり、馬場に居合わせた貴族の令嬢たちの熱い視線を一斉に集めていた。

狭霧は、気が立った馬に振り落とされた月城を馬上から涼しい表情で一瞥すると、にっこりと告げた。
『さあ、もう一度。
常歩が出来るまで今日は帰れないよ』

…貴公子のように美しく優雅なのに、狭霧の教えは恐ろしくスパルタだったのだ…。

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