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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
暁と乗馬倶楽部で貌を合わせるようになり、月城は俄然、乗馬に熱を入れるようになった。

元々動物は大好きだ。
以前から、伯爵の愛馬…ジークフリートを馬丁と一緒に世話をしていた。
馬も、馬の世話も大好きだ。
ジークフリートは慣れれば慣れるほど、人懐っこく従順になる馬だった。
今では鞍を付ける時も、驚くほど大人しく待つことが出来るようになったのだ。

…乗馬は梨央様のためだけれど、いつか暁様もお守りできるようになったらいいな…。
そっと、胸のうちで呟く。

…けれど…

厩舎の中、馬具の手入れをする手をふと、止める。

…なぜ?
暁様は、私のご主人様でもないのに。
お守りしたいなど、見当違いだ。

…いや、それよりも…。

目の前のジークフリートが、かまえと言うように鼻面を寄せてくる。
それを優しく撫でてやりながら、ぼんやりとひとつの思いに身を委ねる。

…なぜ、こんなにもあの方が気になるのだろうか…。


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