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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
…けれど、きっと暁様は、礼也様には決してお嫌なお貌などなさらないに違いない。
月城はなんとなく予想ができた。
いつの日にか、礼也様と梨央様とのご婚約が正式に決まられても、きっと暁様はご自分のお気持ちを押し殺して、あのお美しいお貌に無邪気な笑顔を浮かべられるに違いない。
そうして、誰よりも嬉しそうに礼也様にお祝いのお言葉を述べられるに違いない。
…なぜなら、暁様にとって礼也様はすべてと言える存在だからだ。
自分の命の危機に颯爽と現れ、逞しく救ってくれた心優しく頼もしい兄…。
暁様の世界には、礼也様の存在だけが眩しいほどの光を放っているのだ。
…その感情は、尊敬、敬愛、信頼、思慕…それらのすべてなのだろう。
暁様が礼也様のことを話す表情や眼の輝きだけで、それらははっきりと見て取れた。
礼也様は暁様を愛おしく思われ、大切に育てられている。
そのお気持ちはきっと揺らぐことはないだろう。
礼也様は誠実な魂を持った方だからだ。
…けれど…
それは梨央様に対する愛の感情とは別のものだ。
梨央様はまだ幼い。
礼也様は梨央様の成長を距離を保って大切に見守られるに違いない。
…しかし、あと十年もして梨央様が一人の女性へと成長されたら…。
恐らく、誰よりも早く熱烈に求婚なさるに違いない。
…その日は決して遠い未来ではないのだ…。
その時、暁様はどう思われるのだろうか…。
心の何処かに、密かに傷を負われるのではないだろうか。
…それを思うと、月城の胸は我がことのように苦しくなるのだ。
…何故だかは、自分でもよく分からない。
近い将来、自分もまた、梨央様を失う立場にあるからなのだろうか…。
…いや…。
そうではない。
そんな気持ちではない。
もやもやとする気持ちは、月城を不安にする。
月城はため息を吐いた。
…何故だろう…。
暁様のことを考えると、いつもそうだ…。
訳もわからない不安と、焦れるような苦しい感情に支配されるのだ。
月城はなんとなく予想ができた。
いつの日にか、礼也様と梨央様とのご婚約が正式に決まられても、きっと暁様はご自分のお気持ちを押し殺して、あのお美しいお貌に無邪気な笑顔を浮かべられるに違いない。
そうして、誰よりも嬉しそうに礼也様にお祝いのお言葉を述べられるに違いない。
…なぜなら、暁様にとって礼也様はすべてと言える存在だからだ。
自分の命の危機に颯爽と現れ、逞しく救ってくれた心優しく頼もしい兄…。
暁様の世界には、礼也様の存在だけが眩しいほどの光を放っているのだ。
…その感情は、尊敬、敬愛、信頼、思慕…それらのすべてなのだろう。
暁様が礼也様のことを話す表情や眼の輝きだけで、それらははっきりと見て取れた。
礼也様は暁様を愛おしく思われ、大切に育てられている。
そのお気持ちはきっと揺らぐことはないだろう。
礼也様は誠実な魂を持った方だからだ。
…けれど…
それは梨央様に対する愛の感情とは別のものだ。
梨央様はまだ幼い。
礼也様は梨央様の成長を距離を保って大切に見守られるに違いない。
…しかし、あと十年もして梨央様が一人の女性へと成長されたら…。
恐らく、誰よりも早く熱烈に求婚なさるに違いない。
…その日は決して遠い未来ではないのだ…。
その時、暁様はどう思われるのだろうか…。
心の何処かに、密かに傷を負われるのではないだろうか。
…それを思うと、月城の胸は我がことのように苦しくなるのだ。
…何故だかは、自分でもよく分からない。
近い将来、自分もまた、梨央様を失う立場にあるからなのだろうか…。
…いや…。
そうではない。
そんな気持ちではない。
もやもやとする気持ちは、月城を不安にする。
月城はため息を吐いた。
…何故だろう…。
暁様のことを考えると、いつもそうだ…。
訳もわからない不安と、焦れるような苦しい感情に支配されるのだ。