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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
…それから、月城が再び乗馬倶楽部に行けたのは、12月に入ってからのことだった。
暫く屋敷の仕事や大学の試験など多忙で、なかなか足を向けることが出来なかった。
馬たちは普段は倶楽部や屋敷の馬丁が世話をしているので、心配はない。
けれど、ジークフリートは伯爵の特にお気に入りの愛馬なので、人好きの寂しがり屋だ。
だからたまに遊んだり乗ってやらないと拗ねる癖がある。
漸く取れた休日に、久々にジークフリートを外遊に連れて行ってやろうと、馬房を覗いたのだ。

飼い葉の香りがする馬房に足を踏み入れると…。

「…あ…」

月城は思わず脚を止めた。

…中には意外な先客が居た。

「…ジークフリート。
お前はアルフレッドが好きなんだな。
親友?それとも…」

…澄んだ綺麗な声…。

「…暁様…」

それは、暁の楽しげに弾んだ声だった。



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