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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…月城さんは僕より歳上ですし、僕は…」
続けようとする言葉を、月城は優しく引き取った。

「暁様はご立派な男爵家のご令息様です。
…どうか自信を持って堂々と使用人に接してください。
それは、決して不遜なことではないのです。
貴方様は貴族なのですから。
…私のことも、どうか縣様の使用人と同様に扱ってください。
そうでないと、示しがつきません」
綺麗な眉を顰める暁に、月城はにっこりと笑う。
「私はこれからも暁様とお言葉を交わさせていただくことを楽しみにしているのですから…」 

暁は瞬きもせず、じっと聞き入っていたが、やがて小さく息を吐き…やや寂しげな微笑みを浮かべた。
「…分かったよ。
ではそうしよう…。
…君がそれを望むなら…。月城…」
「ありがとうございます。
暁様」
月城は深々と頭を下げたのだ。
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