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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…アルフレッドには何でも話せるんだ…。
いろんなことを本音で」
「…暁様…」
「…おかしいかな。馬に本音…なんて」
恥ずかしそうに眼を伏せる。
…この世にも稀に美しい少年にはおそらく、誰にも話せない繊細な心の内がたくさんあるのだろう。
礼也がどれだけ可愛がり大切にしてくれようとも、彼の出自は変わらない。
今は別居し鎌倉の別邸に住まう礼也の母親、縣男爵夫人は大変嫉妬深く傲慢な女性だと漏れ聞く。
…恐らくは暁にも冷たい態度で接したことだろう。
それらすべてをじっと耐え、思春期の傷つきやすい心の呟きを、彼はこの心優しく賢い馬にだけは話せたのだ。
「…いいえ、暁様。
暁様とアルフレッドとの信頼関係があればこその素晴らしいことと存じます。
アルフレッドはきっと暁様が大好きなのでしょうね」
月城の言葉を聴き、暁は玻璃のように優美な美貌に輝くような笑みを浮かべた。
「ありがとう。月城…」
月城は早く遠乗りに行きたくてうずうずしているジークフリートの鼻面を撫でながら、暁に尋ねた。
「…よろしければご一緒に遠乗りなさいませんか?
私の前にお乗り頂くのでよろしければ…ですが…」
暁は驚いたように美しい瞳を見張った。
「良いの?」
いろんなことを本音で」
「…暁様…」
「…おかしいかな。馬に本音…なんて」
恥ずかしそうに眼を伏せる。
…この世にも稀に美しい少年にはおそらく、誰にも話せない繊細な心の内がたくさんあるのだろう。
礼也がどれだけ可愛がり大切にしてくれようとも、彼の出自は変わらない。
今は別居し鎌倉の別邸に住まう礼也の母親、縣男爵夫人は大変嫉妬深く傲慢な女性だと漏れ聞く。
…恐らくは暁にも冷たい態度で接したことだろう。
それらすべてをじっと耐え、思春期の傷つきやすい心の呟きを、彼はこの心優しく賢い馬にだけは話せたのだ。
「…いいえ、暁様。
暁様とアルフレッドとの信頼関係があればこその素晴らしいことと存じます。
アルフレッドはきっと暁様が大好きなのでしょうね」
月城の言葉を聴き、暁は玻璃のように優美な美貌に輝くような笑みを浮かべた。
「ありがとう。月城…」
月城は早く遠乗りに行きたくてうずうずしているジークフリートの鼻面を撫でながら、暁に尋ねた。
「…よろしければご一緒に遠乗りなさいませんか?
私の前にお乗り頂くのでよろしければ…ですが…」
暁は驚いたように美しい瞳を見張った。
「良いの?」