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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
暁は驚くほどに軽かった。
…まるで、妖精みたいだ…。
自分の前に乗せ、その華奢な腰を背後から抱きながら、月城はやや緊張している自分に気づく。

幼女の梨央とはまた異なる軽さであり、少年のしなやかで華奢な身体の抱き心地は初めて体験するものであった。

「大丈夫ですか?
不具合はございませんか?」
尋ねる月城を振り返り、暁は嬉しげに微笑った。
冬の澄んだ風に乗り、蓮の花のような薫りが微かに薫った。
不意打ちのように、胸が甘くときめく。

「大丈夫。
僕、二人乗りは初めて。
どきどきする」
透き通るように白くきめ細やかな頬がうっすらと薔薇色に染まっていた。

「左様でございますか。
…それではご一緒に手綱をしっかりとお持ちくださいね」
月城は鎧を軽く蹴り、ジークフリートを促した。


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