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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
馬場を出ると外遊の小径に沿い、小高い丘の道に進む。
この道はジークフリートが大好きな道だ。
いつも伯爵と駆けるお気に入りのコースだからだ。

最初から弾むような駆け足だ。
ジークフリートは元々競走馬のサラブレッドの血統だ。
気がはやるのか、外遊も早駆けになる。
連動して、馬上の二人の身体も揺れる。

「大丈夫ですか?怖くありませんか?」
華奢な身体を大切に背後から抱きしめながら、尋ねる。
一人で乗るのと他人に抱えられて乗るのでは、位置も気持ちの安定感も違うからだ。

暁が振り返る。
優美で繊細な美貌が、冬の陽光の中、きらきらと輝く。
「大丈夫。
一人で乗るより安心する。
それに…すごく楽しい!」
弾けるように、暁が笑った。

…可愛い…。

月城の胸の鼓動が、早鐘のように音を立てる。

「…それは…良かったです…」
そうぎこちなく、答えるのが精一杯だ。



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