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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
小高い丘の中腹の小径に差し掛かった頃、不意に天気が一変し出した。
やがて灰色の重たげな雲の隙間から、風花のような小雪が舞い始める。
気温が一気に下がり出し、風が吹き始めた。
暁が微かに寒そうに肩を竦めた。
…コートは着ているが、防寒にはやや弱い服装だ。
万が一、風邪でも引かせたら大変だ。
月城は、すぐさまにひとつの提案をした。
「暁様。雪が舞い始めました。
このままでは暁様がお風邪を召されてしまわれます。
雪が止むまでの間、近くのバンガローで暖を取りましょう」
「バンガロー?」
「はい。
この辺りは北白川家の領地でもあるのです。
伯爵様は山駆けをなさる時のために、バンガローをお造りになりました。
急な天候の変化の際にお休みになる場所です。
私も何度かお供をしたことがあります。
一先ず、そこにお連れします。
よろしいでしょうか?」
暁は素直に頷いた。
そうして、白く華奢な手を天に翳した。
「…本当…雪だ…」
…綺麗…。
そのあえかな声は、ひんやりとした空気の中に静かに溶けていった。
やがて灰色の重たげな雲の隙間から、風花のような小雪が舞い始める。
気温が一気に下がり出し、風が吹き始めた。
暁が微かに寒そうに肩を竦めた。
…コートは着ているが、防寒にはやや弱い服装だ。
万が一、風邪でも引かせたら大変だ。
月城は、すぐさまにひとつの提案をした。
「暁様。雪が舞い始めました。
このままでは暁様がお風邪を召されてしまわれます。
雪が止むまでの間、近くのバンガローで暖を取りましょう」
「バンガロー?」
「はい。
この辺りは北白川家の領地でもあるのです。
伯爵様は山駆けをなさる時のために、バンガローをお造りになりました。
急な天候の変化の際にお休みになる場所です。
私も何度かお供をしたことがあります。
一先ず、そこにお連れします。
よろしいでしょうか?」
暁は素直に頷いた。
そうして、白く華奢な手を天に翳した。
「…本当…雪だ…」
…綺麗…。
そのあえかな声は、ひんやりとした空気の中に静かに溶けていった。