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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…狭霧さん…」

狭霧の琥珀色の瞳が迫る。
「…ご主人様に仕えるということは、身も心もご主人様に捧げるということだ。
俺はそう思う。
…月城くんもいずれは解る。
解る日が来る。
梨央様の為に、自分を捧げることの幸せを…。
そう。犠牲なんかじゃない。
…幸せなんだ」

月城は抗う力を抜いた。
少し躊躇いながら、口を開く。
「…正直、狭霧さんの言われること…まだよく解りません…」

…でも…

琥珀色の瞳をじっと見つめ返す。
…そこには嘘偽りのない、澄み切った色しか浮かんではいなかった。

「…梨央様への忠誠心なら、誰にも負けません」

月城の言葉に、狭霧の表情が柔らかく解ける。
「…それで充分だ…」

…狭霧はゆっくりと、月城をシーツの海の奥深くへと沈めていった…。

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