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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
…月明かりに狭霧の透き通るように白い背中が、夢のように照らされ、真珠色に輝いていた。

月城が放った牡液が、白い蜜の川のように、狭霧を濡らしていた。
狭霧は一糸纏わぬ姿のまま、気を失ったかのように眠りに落ちていた。
桜色の形の良い口唇は、柔らかく開かれている。
…その口唇で、巧みな口淫を施されたことが、鮮やかに甦る。
思わず、ぞくりと震えた。

…狭霧さん…。

脳裏に浮かんだ狭霧の痴態はあまりに淫らで、月城の牡を痛いほどに刺激した。
劣情のままに再び狭霧の身体を引き寄せ、身体を需めようとした。

…その刹那…

半開きの口唇が、微かに動いた。

「…旦那様…」

…愛しています…。

空気に触れた瞬間に、消えてしまいそうな儚い囁きだった。

月城は引き寄せた手を止め、そのまま丁寧にブランケットを掛けた。
乱れた髪を、そっと掻き上げてやる。
白い額に、静かに口づけを落とした。

欲情は淡雪のように消えていた。
残るのは、静かな愛おしさだけだ。

…不思議なひとだな…。

ベルガモットの薫りは、月城から纏わりついて離れなかった。

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