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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第2章 狭霧の告白
和彦の告白は、さながら告解のようだった。
「…気がついたら僕が好きなひとは皆、男性だった。
…最初は家庭教師の大学生…。
次は…家に出入りする庭師…高等学校のフランス人教師…。
…けれど、すべて僕の片想いだった。
告白するなんて思いもよらなかった。
…第一、そんなこと、許されるはずもなかった。
…うちは代々法曹界に身を置く人間が多くて、ことさら厳しく育てられたんだ。
特に父親はとても厳格でね。
父親はクリスチャンだし、自分にもストイックで潔癖なんだ。
貴族院議長の前は判事をしていたからね…。
だから、少しでも恥ずべきことをしたり、約束を守らなかったりしたら強く叱責された。
手を挙げられたことはなかったけれど、理詰めで叱られるのは子どもにはきつかったよ。
…母は、僕にとても優しいけれど…。
だからこそ余計に母を悲しませることはしたくなかった」
…男が好きだなんて…誰にも打ち明けることはできなかった…。
だから、自分は男性を好きだという感情を押し殺して生きてきた。
夕陽に照らされた和彦の横貌は、とても弱々しく頼りなげに見えた。
少しだけ、この青年のことがいじらしくなる。
「…気がついたら僕が好きなひとは皆、男性だった。
…最初は家庭教師の大学生…。
次は…家に出入りする庭師…高等学校のフランス人教師…。
…けれど、すべて僕の片想いだった。
告白するなんて思いもよらなかった。
…第一、そんなこと、許されるはずもなかった。
…うちは代々法曹界に身を置く人間が多くて、ことさら厳しく育てられたんだ。
特に父親はとても厳格でね。
父親はクリスチャンだし、自分にもストイックで潔癖なんだ。
貴族院議長の前は判事をしていたからね…。
だから、少しでも恥ずべきことをしたり、約束を守らなかったりしたら強く叱責された。
手を挙げられたことはなかったけれど、理詰めで叱られるのは子どもにはきつかったよ。
…母は、僕にとても優しいけれど…。
だからこそ余計に母を悲しませることはしたくなかった」
…男が好きだなんて…誰にも打ち明けることはできなかった…。
だから、自分は男性を好きだという感情を押し殺して生きてきた。
夕陽に照らされた和彦の横貌は、とても弱々しく頼りなげに見えた。
少しだけ、この青年のことがいじらしくなる。