この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第6章 従者と執事見習い 〜執事見習いの恋〜
「…嬉しいです…兄さん…」
そう答えるのが、精一杯だ。

「それは良かった。
…ではどこに行こうか?
浅間山にトレッキングに行くのはどう?
…ああ、でも暁の体力ではまだ危ないかな。
怪我でもしたら大変だ。
渓流釣りも楽しいよ。
この辺りはヤマメや鮎が面白いくらい釣れる。
暁、釣りはしたことはないだろう? 
さあ、何がしたい?」

凛々しく品格のある貌で覗き込まれ、暁はきゅっと肩を窄める。

…そして、遠慮勝ちに桜色の口唇を開く。

「…あの…兄さんにラテン語を教えてもらいたいです」
「ラテン語?」
「…はい。僕、ラテン語が苦手で…。
夏休み明けの試験で、良い成績を取りたいんです」

礼也は眼を見張る。
「せっかく休暇に来ているのに、勉強なんてしなくて良いのだよ。
それに…ラテン語の勉強をしたいのなら、もっと相応しい優秀な外国人教師を付けよう」

暁は首を振る。
「兄さんに習いたいんです。
…兄さんのラテン語…とても綺麗だから…。
…綺麗な、音楽みたいに…」

…一度、礼也がラテン語で詩の暗唱をしてくれたことがある。
広い書斎に響くその滑らかなバリトンは、暁の甘美な記憶として今も胸の奥に残っているのだ。

礼也は優しく、暁の髪をくしゃりと撫でた。
「…全く、お前は欲がないな。
私はお前に、何でもしてあげたいのに」

「…兄さんと一緒に居られたら、それだけで僕は幸せなんです」
心からの想いを、礼也に告げる。

礼也が暁の白い頬を軽く突いて微笑んだ。
「お前は本当に可愛いな。
大好きだよ、私の暁」
…礼也の何気ないその言葉に、泣きたくなる気持ちを暁は必死で抑えたのだった。



/256ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ