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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第2章 狭霧の告白
「…だからうじうじ悩むなよ。
男が好きなくらいでさ」
人差し指で和彦の額を突っついてやる。
和彦の首筋がたちまち紅く染まる。

「…泉くん…」
意を決したような表情をして、和彦が尋ねる。
「…じゃあ、僕が君好みの男になったら、つ、付き合ってくれるの?
…僕と…」

狭霧は肩を竦めた。
「まあ、そうだな。
でも、お前が本当に俺の好みのタイプになったら…のハナシだからな。
ダサいままなら速攻バイバイだからな。
俺は垢抜けない鈍臭いヤツは嫌いなんだ」
ツンと澄まして見せる。

「わ、分かった!頑張るよ!なんでも言って!君が好きな男に少しでも近づけるようにする!約束する!」
宣言するように一途に叫ぶ和彦がなんだか可愛らしくて、狭霧は素早くその頬にキスを落とした。

「…あ…っ…!」
和彦は信じられないように眼を丸くする。

「…前払い。
感謝して頑張れ」
にやりと笑ってやる。

「…い…ずみ…く…」
和彦の貌は、これ以上ないほどに紅くなった。

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