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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第2章 狭霧の告白
『…オーロラ姫…?』

礼也は夢見るような眼差しで、漆黒の夜空の果てを見つめるように首を巡らせた。
『ええ。
…彼女は眠りの森の奥深くに住まう美しいオーロラ姫のようなひとなのです。
この世の穢れを知らない純粋無垢なひと…。
…私の役目は、あの方がずっと傷つかぬように、醜いものを目にされぬように、美しいものや心地良いものだけを見、感じ、囲まれて、幸福に優美にご成長されるように力を尽くすことです。
…まだお小さいので、これからのご成長が楽しみですよ』
『…おいくつなのですか?』
『今年、六歳にお成りです』
『…え…』
…やっぱり少し…いや、かなり変わっているな…。

『縣様の若紫の君ですね。
とても風雅ですし…縣様は達観された大人でいらっしゃいますね』
学があり、教養がある和彦は柔和に微笑みながらそう返した。
…そうか…。
源氏物語の若紫…か…。
しかし、悠長というか何というか…。
六歳じゃ、当分手を出せないじゃないか。
いいのか?それで…。
半ば同情的な眼差しで礼也を見た狭霧に、少しも不愉快そうにもならず、礼也は答えた。

『…美しく気高い花は、時間をかけて育ててこそ、喜びと醍醐味があるのです。
未熟な花を手折るような無粋な真似はしたくありません。
…私はまだ稚い美しいあのお方をお護りし、ただ拝見することにこの上ない幸せを感じているのですから…』

…変わっている。
変わっているけれど…

そんなにも愛し、崇拝するひとにめぐり逢え、さながら中世の騎士のように恭しく忠誠心と憧憬を持って傅く…。
それを堂々と誇りとするこの男はやはり立派な紳士だと、狭霧は密かに…心から思ったのだ。












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