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海に映る月の道 〜last tango in Paris〜
第3章 新たなる道の前で
ナイフとフォークを使っての食事は久しぶりだ。
狭霧はやや緊張しながらも、ベーコンを切り分け口に運ぶ。
「…うま…」
…塩加減、桜チップの薫りが絶妙だ。

スクランブルエッグは白トリュフ入りだった。
「…トリュフなんて何年ぶりだろ…」
狭霧は猛然と口に運ぶ。
「美味いね。これ。卵も良いのかな。
バターも食べたことないくらいに濃厚でこくが良い。
ここのシェフは大したもんだな。
…あ、爺さん。
そこのオレンジジュース、俺にもちょうだい」
わざとぞんざいに口を聞く。
マレーが苦々しそうに狭霧を見遣り…けれど慇懃にジュースの給仕を始める。

別にフランス人の執事に疎ましがられようと、どうだっていい。
…どうせご馳走になったらサヨナラだ。
喰うだけ喰っとけ。
狭霧は味の染みたキドニービーンズを咀嚼しながらオレンジジュースを流し込む。

北白川伯爵は狭霧の行儀の悪さを気にも留めず、むしろ楽しげに笑った。
「それは良かった。
料理長のモリスさんに伝えてくれ、マレー。
ジャポネの飛び切りの美青年が、料理を絶賛していたとね」
「…畏まりました。旦那様」
マレーは苦虫を噛み潰したような表情で狭霧を横目で睨むと、隅に控えた。

狭霧が黙々と食事を詰め込むさまを伯爵に和かに見守っていたが、やがてナプキンを置くとしなやかに立ち上がり、告げた。

「食事が済んだら私の書斎に来てくれたまえ。
…大切な話がある」



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