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自分の為のBL
第5章 降り口は、進行方向左側。

帰りはいつも終電なのだろうか。

自分よりは年上だろうが20代か30代か……やや年齢不詳にして、終電だろうが疲れは感じさせない姿勢の良さ。

少し冷たそうな印象の目元には近寄り難さも感じるけど……女の子にはモテそうだな……




「…鎌田君、聞いてる?」


腕に絡み付く細い腕と押し付けられた柔らかな感触に、意識が引き戻された。

ついつい、隣をスッカリ忘れて、エリート会社員の観察に勤しんでしまっていた。
それ位、彼女は感心の湧かない相手であり、彼は物凄く興味深い対象だ。

「あぁ。ごめん。考え事してた。…何だった?」

「だからねっ、私の降りる駅もうすぐなんだけど……もう少し、一緒に居ない?私、独り暮らしだから親とかも居ないし」


恥ずかしそうに伝えられた言葉は、言外に何やらイヤらしい響きを感じる……
この腕に押し当てられている柔らかい胸もかなり魅力的だ。
彼女はタイプでは無いし、興味も湧かない。
押しが強いのも苦手ではあるが…年頃の男としては、ヤれるなら誰でもってのも実の所で………


美味しいお誘いに乗っかるべきか。

据え膳食らわぬは何とやら…て言うしね。





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