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自分の為のBL
第5章 降り口は、進行方向左側。
筈だったのに。



「やめとけってば」
「うっ?!」


突然の後ろからの引力で、俺の体は車両の中へ、そして暖かい腕の中へ引き込まれた。


「え?!」




面食らったのは俺を引いていた彼女も同じ様だ。

「え、何?…鎌田君?」

離れた腕をどうするべきか解らない。そんな風に自分の腕を抱えながら、困惑した顔で俺と俺を後ろから抱くように立っているんであろうエリートサラリーマンを交互に見ている。





「生憎、鎌田君は俺のなんで…やらねえよ。」





何だか嬉しそうな、きっと極上の笑顔で吐かれた言葉が体の中まで伝わって響いて、彼女の呆気に取られた様子にも気が回らない様な状況で…


プシューっと言う音で気付けば、ゆっくりと扉が閉まった所だった。
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