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花の香りに酔う如く
第14章 カサブランカに惑う②〜律
土曜日の夜、この日は1人で沙羅ちゃんを迎えに実家の寺に行った。


沙羅ちゃんは茶室で後片付けを母としていて、
なにやら楽しそうだったので、
慧兄さんと父と3人で話をしながら待つことになった。


養子の話は、
寺の家に良くある話だし、
空がこれから結婚して男の子を2人以上授かったら、
それらでも構わないんじゃないかということを話した。


「子供、出来ないかもしれないし」と僕が言うと、
父が不思議そうな顔をした。


「なんだ?
お前も勃たないのか?」と、
慧兄さんが言うから、
「えっ?」と真顔で兄さんの方を見てしまった。


「いや。
こっちは、あんな化粧臭いアバズレじゃあ、
とてもヤル気にならなかったからな」と、
珍しく慧兄さんは戯けて言った。

「でも、沙羅ちゃんは、
清楚で可愛いだろうに。
あ、清楚過ぎて、ダメだとか?」と言うので、
僕は首を横に振った。


「沙羅ちゃんなら、
いくらでも勃つよ。
でも、なんか、壊してしまいそうだし、
僧職の身で、
こんな、欲に塗れてて良いのかと思ってしまって…」と言うと、
父が声を上げて笑った。


「妻にだけなんだから、
良いだろう?
美しい花を愛でるのと同じだよ。
大切に想う延長だろう?
それで、子供を授かれるなら、
それでお互い幸せだろうに。
私なんか、男の子ばかり3人だぞ?
口の悪い友達は、
感じさせ過ぎると男の子らしいから、
お前、余程なんだろうと揶揄われたよ」と、
頭を掻きながら父は笑った。


「むしろ、我慢して抱かない方が、
罪深いぞ?」と、
肩を叩かれてしまう。


「そうだよ。
お前が抱かないなら、
僕が再婚したいくらい、
沙羅ちゃんは可愛いよ?」と、慧兄さんも笑う。



いや、僕は笑えない。
沙羅ちゃんは、小さい時から慧兄さんのこと、好きだったからな。
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