この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
花の香りに酔う如く
第15章 月下美人で授かる①〜沙羅

遠慮しているのか、
律さんが私の部屋に入ることは数えるほどしかなかった。
この家に来て、
初めて生理痛で起きれないほど具合が悪くなった時、
心配して部屋に来てくれた頃が、
物凄く昔に思えた。
結婚して寝室を律さんの部屋にしてからは、
こちらの部屋は調べ物をしたり、
趣味の針仕事をするのに使っていた。
いつか、子供が出来たら、
ここは子供部屋にするのかもしれないと考えることもあった。
ベッドのシーツを替えて、
空調で室温を程よく整えてから、
ペットボトルのお水を用意してみた。
律さんは変わらず、
一番最後に入浴して、
お風呂掃除をしてくれていた。
そっとノックをして顔を覗かせた律さんは、
顔が薄らと紅くなっていて、
少し幼く見えた。
「律さん、ここに座って?」と、
ベッドの隣をポンポンすると、
言われたまま、隣に座る。
マットレスが大きく沈んで、
身体が律さんの方にもたれてしまって、
可笑しくてクスクス笑ってしまう。
「ねえ、律さん!
今夜、開花すると思うから、
一緒に咲くまで観てましょうね?」と、
月下美人の鉢を指差す。
既に微かに甘い香りがしている。
「ああ。
久し振りの香りだな」と、
律さんは目を閉じる。
「株分けして貰ったけど、なかなか咲かなくて。
去年はね。
蕾はついたのに、
大事にし過ぎて枯らしてしまったの」
「そうだったんだ」とぼんやりした顔で言うと、
私を抱き寄せて顔を近づけると、
そっとキスをした。
律さんが私の部屋に入ることは数えるほどしかなかった。
この家に来て、
初めて生理痛で起きれないほど具合が悪くなった時、
心配して部屋に来てくれた頃が、
物凄く昔に思えた。
結婚して寝室を律さんの部屋にしてからは、
こちらの部屋は調べ物をしたり、
趣味の針仕事をするのに使っていた。
いつか、子供が出来たら、
ここは子供部屋にするのかもしれないと考えることもあった。
ベッドのシーツを替えて、
空調で室温を程よく整えてから、
ペットボトルのお水を用意してみた。
律さんは変わらず、
一番最後に入浴して、
お風呂掃除をしてくれていた。
そっとノックをして顔を覗かせた律さんは、
顔が薄らと紅くなっていて、
少し幼く見えた。
「律さん、ここに座って?」と、
ベッドの隣をポンポンすると、
言われたまま、隣に座る。
マットレスが大きく沈んで、
身体が律さんの方にもたれてしまって、
可笑しくてクスクス笑ってしまう。
「ねえ、律さん!
今夜、開花すると思うから、
一緒に咲くまで観てましょうね?」と、
月下美人の鉢を指差す。
既に微かに甘い香りがしている。
「ああ。
久し振りの香りだな」と、
律さんは目を閉じる。
「株分けして貰ったけど、なかなか咲かなくて。
去年はね。
蕾はついたのに、
大事にし過ぎて枯らしてしまったの」
「そうだったんだ」とぼんやりした顔で言うと、
私を抱き寄せて顔を近づけると、
そっとキスをした。

