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花の香りに酔う如く
第17章 伽羅の香りに包まれて①〜沙羅

両手でマグカップを持って、
息を吹きかけながら冷まして少しずつココアを飲んでいると、
心が落ち着いてきて、涙も収まってきた。
慧お兄様は黙って私のことを観ているので、
恥ずかしくなってしまう。
空になったマグカップを私の手からそっと受け取って、
部屋の隅に置いて、
改めて私の方を見て、
「沙羅ちゃん、小さい頃と全然変わらないね?
可愛いけど、ちょっと泣き虫で、
空に揶揄われて、よく泣いてたな」
と笑う。
「えっ?
それって、幼稚園とか、
小学校の低学年の時ですよ?」と、
頬を膨らませると、
「ほら。
その後は、大学に行ったりしたから、
なかなか会えなくなったしね?」と、
そっと頬を優しく撫でる。
「それで、どうしたのかな?
律と喧嘩でもしたの?」
そう言われて、
息が止まりそうになる。
「喧嘩なんて…。
したこと、ありません」
「そうか。
そうだよね?
律は大人しい方だし、
沙羅ちゃんは優しいし。
僕なんか、
結婚してた頃は、
毎日のように詰られてたな?」と、
淡々と言って笑う。
「私なんて、魅力、ないんですよね?」
そう口にすると、
途端にまた、涙が溢れてしまう。
慧お兄様は、戸惑いながらもすっほりと私を抱き締めて、
髪と背中を撫でてくれる。
まるで、小さい頃に、
空くんに泣かされた時みたいだった。
「沙羅ちゃんは、僕たちのお姫様だよ?
可愛くて、優しくて、
魅力的じゃないなんてこと、ないよ?
みんな、沙羅ちゃんのこと、大好きだよ」
静かで優しい声でそう言われると、
さっき飲んだココアみたいに、
ふんわりと優しい気持ちになって、
心が解されていくようだった。
どれくらいの時間、
そうしていたのか判らなかったけど、
伽羅の香りが淡くなっていくのを感じながら、
静かに抱き締めて貰っていた。
息を吹きかけながら冷まして少しずつココアを飲んでいると、
心が落ち着いてきて、涙も収まってきた。
慧お兄様は黙って私のことを観ているので、
恥ずかしくなってしまう。
空になったマグカップを私の手からそっと受け取って、
部屋の隅に置いて、
改めて私の方を見て、
「沙羅ちゃん、小さい頃と全然変わらないね?
可愛いけど、ちょっと泣き虫で、
空に揶揄われて、よく泣いてたな」
と笑う。
「えっ?
それって、幼稚園とか、
小学校の低学年の時ですよ?」と、
頬を膨らませると、
「ほら。
その後は、大学に行ったりしたから、
なかなか会えなくなったしね?」と、
そっと頬を優しく撫でる。
「それで、どうしたのかな?
律と喧嘩でもしたの?」
そう言われて、
息が止まりそうになる。
「喧嘩なんて…。
したこと、ありません」
「そうか。
そうだよね?
律は大人しい方だし、
沙羅ちゃんは優しいし。
僕なんか、
結婚してた頃は、
毎日のように詰られてたな?」と、
淡々と言って笑う。
「私なんて、魅力、ないんですよね?」
そう口にすると、
途端にまた、涙が溢れてしまう。
慧お兄様は、戸惑いながらもすっほりと私を抱き締めて、
髪と背中を撫でてくれる。
まるで、小さい頃に、
空くんに泣かされた時みたいだった。
「沙羅ちゃんは、僕たちのお姫様だよ?
可愛くて、優しくて、
魅力的じゃないなんてこと、ないよ?
みんな、沙羅ちゃんのこと、大好きだよ」
静かで優しい声でそう言われると、
さっき飲んだココアみたいに、
ふんわりと優しい気持ちになって、
心が解されていくようだった。
どれくらいの時間、
そうしていたのか判らなかったけど、
伽羅の香りが淡くなっていくのを感じながら、
静かに抱き締めて貰っていた。

