この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
花の香りに酔う如く
第17章 伽羅の香りに包まれて①〜沙羅
両手でマグカップを持って、
息を吹きかけながら冷まして少しずつココアを飲んでいると、
心が落ち着いてきて、涙も収まってきた。


慧お兄様は黙って私のことを観ているので、
恥ずかしくなってしまう。


空になったマグカップを私の手からそっと受け取って、
部屋の隅に置いて、
改めて私の方を見て、

「沙羅ちゃん、小さい頃と全然変わらないね?
可愛いけど、ちょっと泣き虫で、
空に揶揄われて、よく泣いてたな」

と笑う。


「えっ?
それって、幼稚園とか、
小学校の低学年の時ですよ?」と、
頬を膨らませると、

「ほら。
その後は、大学に行ったりしたから、
なかなか会えなくなったしね?」と、
そっと頬を優しく撫でる。



「それで、どうしたのかな?
律と喧嘩でもしたの?」

そう言われて、
息が止まりそうになる。


「喧嘩なんて…。
したこと、ありません」


「そうか。
そうだよね?
律は大人しい方だし、
沙羅ちゃんは優しいし。
僕なんか、
結婚してた頃は、
毎日のように詰られてたな?」と、
淡々と言って笑う。


「私なんて、魅力、ないんですよね?」

そう口にすると、
途端にまた、涙が溢れてしまう。


慧お兄様は、戸惑いながらもすっほりと私を抱き締めて、
髪と背中を撫でてくれる。

まるで、小さい頃に、
空くんに泣かされた時みたいだった。


「沙羅ちゃんは、僕たちのお姫様だよ?
可愛くて、優しくて、
魅力的じゃないなんてこと、ないよ?
みんな、沙羅ちゃんのこと、大好きだよ」


静かで優しい声でそう言われると、
さっき飲んだココアみたいに、
ふんわりと優しい気持ちになって、
心が解されていくようだった。


どれくらいの時間、
そうしていたのか判らなかったけど、
伽羅の香りが淡くなっていくのを感じながら、
静かに抱き締めて貰っていた。





/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ