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花の香りに酔う如く
第17章 伽羅の香りに包まれて①〜沙羅
丁寧に玉露を淹れてお出しすると、
美味しそうに飲んでくれる。


小さな煎茶道の茶器を、
大きな手で持つのを見ると、
いつもなんとなく微笑ましく思ってしまう。


「今日、お帰りになるなら、
ちゃんとお着物で来れば良かったな」と言うと、

「具合悪いのに、着物じゃ、大変でしょう?
それに、ワンピースも可愛いよ?」

「無印良品ですよ?
全然、可愛くないです」と言うと、
可笑しそうに笑うので、
私も釣られて笑ってしまう。


「それに、病気じゃないから…」と言うと、
お兄様は首を少し傾げるので、

「えっと、あの…。
生理痛だったんです」と言ってしまった。


「あ…なるほど」と言いながら、

「倒れるような感じで、
どうしたのかと思ったよ。
大変だったね?」と言う。



「あの日の翌日だったかな?
律が母さん達に、
あまり子供、子供って沙羅ちゃんに言わないでくれって言ってたよ」

「えっ?」

「沙羅ちゃんのお母様達にも言うって、
大人しい律にしては結構凄い剣幕で言ってたな」

そう言われて、
私は下を向いて、
膝の上で手をギュッとした。


その手の上に、
涙がポタポタと落ちてしまう。



「律から少しだけ、聴いたよ」

「えっ?」

「えっと、その…。
律がちょっと、元気にならないって話。
多分、プレッシャーとかで、
ナーバスになってるんだと思うけど、
間違いなく沙羅ちゃんのこと、大切に想ってるから、
気にしないで、のんびりすると良いよ?」


私は更に涙が出てしまって、
肩を震わせながら泣き続ける。


慧お兄様がそっと膝を進めて、
私の手を握り締める。

そして、ふわりと抱き締めてくれる。


震えながら泣く私の髪や背中をゆっくり撫でてくれるので、
少しずつ気持ちが落ち着いてくる。


慧お兄様の顔を見上げると、
指先で涙を拭ってくれてから、
そっと額と睫毛にキスをしてくれるので、
私は目を閉じる。


お兄様は右の頬にもキスをして、
左の頬にもキスをしてから、
そっと唇にキスをした。


律さんと違って、
少し薄い唇。

触れるだけの優しいキスをしながら、
優しく背中を撫でてくれる。



嫌な感じはしない。

とても自然で癒されるようなキスと、
ふんわり漂う伽羅の香りに、
私は少し混乱してしまった。
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