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花の香りに酔う如く
第2章 月下美人の夜②〜律
大学に入る直前の春休みに車の免許を取った。

住職を送り迎えすることも仕事のうちだと思ったからだった。


その車で、
住職を伴って実家に行くこともあった。


一緒に修行したということもあり、
父さんと水野住職は、
母さんが作った家庭的なおかずを摘みながら、
2人で遅くまで酒を酌み交わしていることもあった。


僕はまだそのままになっていた自分の部屋で勉強をしたり、
本を読んだりしていた。


あの月下美人の咲く夜も、
毎年、実家に戻っていた。


沙羅ちゃんもお母様やお祖母様といつも来ていて、
少し遠くから沙羅ちゃんを見るのが楽しみだった。


小柄なお母様達に似て、
身長はあまり伸びないようだったけど、
ふっくらとした曲線や白い肌が美しくなっていくのが遠巻きにしていても判って、
ドキドキしていた。


空とは学校は違うけど仲が良いらしくて、
楽しそうに話をしているのも見えて、
チクリとヤキモチも焼いたりしていた。


そして、兄さん夫婦は、
母屋にはちっとも顔を見せなくて、
母さんは段々とお嫁さんのことを悪く言うようになっていた。



嫁姑ってヤツか。

そう思って、
僕はいつも、ぶっきらぼうなことを言って、
自室に篭るようにしていた。


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