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花の香りに酔う如く
第18章 伽羅の香りに包まれて②〜慧
元妻は、なんていうか、
僕が考えていた結婚生活のパートナーとはえらくかけ離れていた。


僕の生まれ育った寺は、
寺としては比較的恵まれていたと思う。

男3人、
好きな学校に通えるほど、
経済的に恵まれていた。

立地も良く、
若干、観光寺的な要素もあった。

檀家様にも恵まれていた。


父が小さい流派ながら、
茶道の家元をしていたから、
寺のこと以外にすることはあったけど、
変化もあって、
人の出入りもあって、華やかだった。

出入りする檀家様も、生徒様も、
慎み深くて優しい人が多かった。


でも、元妻の処は少し違っていたらしい。

同じ県内だけど、
海のある外れの町の寺で育った元妻は、
夜、寝る時も素顔を見たことがないほど、
いつも化粧をして、強い香水をつけていた。


殺生を想起させるから、
僕たちは使うのを躊躇うような毛皮を身に纏い、
先の尖ったハイヒールを履いて、
ワニ皮の鞄を持って歩く。


後から聞いたら、
僕のカードで買っていたという。



彼女の母親は、
京都の寺から嫁入りしたらしかったけど、

「こんな田舎の寺に閉じ込められて!」と言い続けて、
歳が離れた住職は、宥めるように贅沢をさせてたそうだ。

そして、そんな母親に育てられた元妻も、
同じようにまるで買い物中毒のように、
学生時代もブランドバッグを持ち歩くような生活だったらしい。

でも、寺としてはそんなに余裕がある訳ではなく、
嫁と娘の過剰な贅沢のせいで、
火の車だったそうだ。

弟さんも、公立の学校しか通えず、
高校を出て他所の寺に修行に出されていたようだった。



だから、僕との結婚は、
彼女曰く、
「新しい財布が出来た」という認識だったようだ。


結婚を機に、
新宅を用意したけど、
ろくに掃除も炊事もしなくて、
デパートに買い物に出ては買ってきたおかずを出されたり、
デリバリーばかりだった。

元妻に遠慮しながら、
昼食で本宅の母の手料理を食べるのが楽しみだった。

おかずも、最初はまだ、
お皿に盛り付けていたけど、
そのうち、パックのまま、並べるようになった。


掃除は僕がやっていたけど、
寝室やそのクローゼットは、
元妻が買い漁ってくる派手な服やらバッグで溢れるようになって、
居場所もなくなっていった。
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