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花の香りに酔う如く
第18章 伽羅の香りに包まれて②〜慧
別に家事を全部するのが妻だとは思わなかったけど、
少なくとも、協力し合って家のことをして、
お互いを尊重し合って、
思い遣って、
やがて、子供を授かって一緒に育てる。

漠然とそう考えていたけど、
元妻との生活は全く違った。


おまけに、夜の生活にも驚いた。


キスも拒まれた挙句に、
いきなり、股間のモノを掴まれて舐められて、

「全然、勃たないじゃない?」と言われた。


胸を押しつけられて、
無理矢理、舐めさせる。


強い化粧と香水の匂いで、
吐きそうになる。


顔の上に跨られて、
「舐めて」と言われて、
真っ赤な柘榴みたいな下の唇が正直、毒々しくて、
更に股間が縮み上がると、

「役立つ!」と嗤われて、
蹴り飛ばされた。



その日を境に、
僕はリビングのソファで寝る生活になり、
元妻は、夜な夜な、遊び歩いて、
朝帰りをするようになった。



挙句に、
ホストか何かとの間に子供を作って、
離婚することになった。



嵐のような結婚生活で疲労困憊して、
そのまま、本山に入ることにした。



その間に、
律が沙羅ちゃんと結婚をした。

律が養子に入った都内の寺から大学に通っていた沙羅ちゃんと、
大人しい律が結婚したのは少し驚くと同時に、
本当は自分が沙羅ちゃんと結ばれたかったなとも思ったりした。



僕は本山に入ったし、
沙羅ちゃんもそのまま、都内の寺で新婚生活を送っていたから、
会うことも殆どないまま、
2人の間に長男の蓮くんが産まれたと聞いた。


感無量な気持ち。


そして、
「2人目が出来たら、うちに養子に貰いましょうね?
勿論、戸籍上だけよ?」と、母が口にするのを聴きながら、
少し複雑な気持ちにもなった。


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