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花の香りに酔う如く
第5章 クチナシの誘惑①〜沙羅

2日ほどすると、少し痛さが和らいできた。
一階のお風呂場も使わせていただいた。
確かにバスタブでゆっくりと温めると、
お腹の痛みが和らぐ感じがした。
浴室から出て、
血液で汚しちゃったシーツや下着やパジャマを手で洗っていたら、
少し開いた窓から、フワリと甘い香りがしてきた。
近くのお勝手口から出てみると、
暗闇にフワリと白い花が浮かんでいた。
八重咲きのクチナシだった。
お部屋に飾ろうかと思って、
家の中に戻ると、
階段から降りてきたお兄様とぶつかりそうになって、
支えて貰う。
「沙羅ちゃん、大丈夫?
どうしたの?」と言われて、
「裏口の処に咲いてるクチナシのお花、
切って来ようかと思って…」と言うと、
「暗いから一緒に行くよ?」と言ってくれた。
花鋏を手に一緒に外に出ると、
「甘い香りだね?」とお兄様の声が耳元で聴こえて、
くすぐったくて声の方を見ると、
思ったより近くにお兄様の顔があった。
お花を覗き込もうと屈んでいたんだと思ったけど、
ドキドキしてしまう。
「沙羅ちゃん…。
キス、したい」
「えっ?」
「好きだって言ったら、
驚く?」
「沙羅もお兄様、好きよ?」
「それって、
『お兄ちゃんとして好き』ってこと?」
「えっ?」
「ごめん。
僕は違うんだ。
妹みたいな意味で好きっていう気持ちじゃなくて、
1人の女の子として、好きなんだ」
律お兄様は、私をそっと抱き寄せて、
髪や背中を優しく撫でる。
「ごめん。
急にこんなこと言われて、
戸惑うよね?
それに、まだお腹、痛いのに。
家に入ろうか。
小雨が降ってきたし」
と優しく笑うと、
頭をポンポンと優しく叩く。
「クチナシだっけ?
こんなに甘い香りがするから、
それにやられたのかもな。
沙羅ちゃん、困らせたくないから…」と言って、
私の手から花鋏を取って、
三輪ほど枝を切って渡してくれる。
私はお兄様の首に掴まるように背伸びをして、
目を閉じてそっと唇を合わせた。
手に持ったクチナシの香りが2人を包み込む。
お兄様の手から花鋏が滑り落ちる音に驚いて、
重ねた唇と腕を離してしまう。
お兄様が少し驚いた顔をして、
私の顔を見るので、
私は恥ずかしさで俯いてしまった。
一階のお風呂場も使わせていただいた。
確かにバスタブでゆっくりと温めると、
お腹の痛みが和らぐ感じがした。
浴室から出て、
血液で汚しちゃったシーツや下着やパジャマを手で洗っていたら、
少し開いた窓から、フワリと甘い香りがしてきた。
近くのお勝手口から出てみると、
暗闇にフワリと白い花が浮かんでいた。
八重咲きのクチナシだった。
お部屋に飾ろうかと思って、
家の中に戻ると、
階段から降りてきたお兄様とぶつかりそうになって、
支えて貰う。
「沙羅ちゃん、大丈夫?
どうしたの?」と言われて、
「裏口の処に咲いてるクチナシのお花、
切って来ようかと思って…」と言うと、
「暗いから一緒に行くよ?」と言ってくれた。
花鋏を手に一緒に外に出ると、
「甘い香りだね?」とお兄様の声が耳元で聴こえて、
くすぐったくて声の方を見ると、
思ったより近くにお兄様の顔があった。
お花を覗き込もうと屈んでいたんだと思ったけど、
ドキドキしてしまう。
「沙羅ちゃん…。
キス、したい」
「えっ?」
「好きだって言ったら、
驚く?」
「沙羅もお兄様、好きよ?」
「それって、
『お兄ちゃんとして好き』ってこと?」
「えっ?」
「ごめん。
僕は違うんだ。
妹みたいな意味で好きっていう気持ちじゃなくて、
1人の女の子として、好きなんだ」
律お兄様は、私をそっと抱き寄せて、
髪や背中を優しく撫でる。
「ごめん。
急にこんなこと言われて、
戸惑うよね?
それに、まだお腹、痛いのに。
家に入ろうか。
小雨が降ってきたし」
と優しく笑うと、
頭をポンポンと優しく叩く。
「クチナシだっけ?
こんなに甘い香りがするから、
それにやられたのかもな。
沙羅ちゃん、困らせたくないから…」と言って、
私の手から花鋏を取って、
三輪ほど枝を切って渡してくれる。
私はお兄様の首に掴まるように背伸びをして、
目を閉じてそっと唇を合わせた。
手に持ったクチナシの香りが2人を包み込む。
お兄様の手から花鋏が滑り落ちる音に驚いて、
重ねた唇と腕を離してしまう。
お兄様が少し驚いた顔をして、
私の顔を見るので、
私は恥ずかしさで俯いてしまった。

